どこにあった?「天草コレジオ」の謎に決着か 論争60年超、英国に古文書

西日本新聞 社会面

 熊本県天草地方に1591~97年にあったとされるキリシタンの最高学府「天草コレジオ」の所在地について、現在の同県天草市河浦町にあったことを示す古文書が、英国の大英図書館に所蔵されていることが分かった。具体的な地名に言及した文書が確認されたのは初めて。天草コレジオの場所は、キリシタンへの迫害から逃れるために当時の宣教師の書簡にも残っておらず、市町合併で天草市になる前の旧河浦町と旧本渡市のどちらにあったか論争が続いていた。

 古文書は、イエズス会のフランシスコ・ロドリゲス神父が書いた1601年9月30日付の同会年報。同会日本管区代表を務めた人物で、地元の郷土史家らでつくる天草キリシタン研究会(浜崎献作会長)が昨年11月、大英図書館所蔵の年報の存在を知り、東京大学史料編纂(へんさん)所から画像を入手。キリシタン史に詳しい慶応大の高瀬弘一郎名誉教授に解読を依頼した。

 高瀬氏によると、年報にはラテン語で「天草の内のカワチノウラという地では彼らは慰められた。そこは迫害の時に、永年にわたりコレジオがひっそりと存在した地であった」(同氏訳)との記述があった。「カワチノウラ(河内浦)」は現在の河浦町を指す。

 同時期の年報はイタリア・ローマのイエズス会文書館にもあり、これには天草コレジオに関する記述はないという。高瀬氏は「2冊の年報を子細に調べないと語ることはできない」とした上で「大英図書館の年報は、天草河内浦にかつてはコレジオが隠れて存在していたことを、重要な事実として言及している」と強調する。

 東大史料編纂所の五野井隆史名誉教授は「大英図書館の年報の署名は、ロドリゲス神父本人のもの。イエズス会所蔵分は年報の書式体裁から逸脱しているので、書き改めたものかもしれない」と指摘。「(大英図書館所蔵の年報の)信頼性は高い」とみる。

 地元の天草ではコレジオは本渡城下にあったとする説が主流だったが、郷土史家が1958年、イエズス会の宣教師ルイス・フロイスが書いた「日本史」などの記述から天草コレジオは河浦町にあったと主張、論争に火が付いた。しかし、具体的な地名を記した文書が見つかっておらず、長年の謎となっていた。

 論争の経緯に詳しい天草市の郷土史家堀田善久さん(99)は「今後は、遺物発見による天草コレジオの実像解明に期待したい」と話した。(金子寛昭)

【天草コレジオ】キリシタンの最高学府。1591(天正19)年、長崎・加津佐から天草に移転。当時、天草地方を治めた豪族・天草氏が誘致したとされる。97(慶長2)年、長崎に移転した。天正遣欧少年使節が欧州から持ち帰った金属活字印刷機を使い、日本で初めて「イソップ物語」や「平家物語」が印刷された。これらは「天草本」と呼ばれた。

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