フランスのシラク大統領と英国のブレア首相が大げんかをした…

西日本新聞 オピニオン面

 フランスのシラク大統領と英国のブレア首相が大げんかをした。2002年10月の欧州連合(EU)首脳会議。農業補助金を巡り、受益国のフランスと削減を求める英国の意見が対立した

▼仏独首脳が事前調整した案で決着したことに、蚊帳の外に置かれたブレア氏がかみついた。「おいぼれ」呼ばわりされたシラク氏は激怒し、12月の英仏首脳会談をその場でキャンセルしたと報じられた

▼英国はEU創設を主導したフランスやドイツへの対抗意識が強く、単一通貨ユーロにも参加しないなど独自路線を貫いていた。03年のイラク戦争では、米国とともに参戦。強く反対した仏独両国との亀裂は深まり、欧州は分断の危機にひんした

▼ブレア氏はけんかの翌月、シラク氏の誕生日に「あなたは偉大な男」と褒めちぎるメッセージを高級万年筆に添えてプレゼント。「欧州のためには英仏の溝を埋めることが大切」と訴え、シラク氏も水に流した

▼イラク戦争でも、けんか別れにはならなかった。EUは欧州が再び戦火にまみれないための知恵-との認識を各国の首脳と国民が共有していたからだ。その英国が先月末、自国の利益を優先してEUを離脱した

▼このコラムを考えている時に、福岡市出身の梓みちよさんの悲報に接し、名曲の一節が浮かんだ。<うらみっこなしで 別れましょうね>。英国のEU離脱のしこりを、双方はさらりと水に流せるだろうか。

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