九電システム、トラブル連鎖 データ移行テスト甘く障害68万件に

西日本新聞 社会面 井崎 圭 吉田 修平

 1月上旬に起きた九州電力の業務系システムの障害は、発生から約1カ月が過ぎ影響は約68万件(5日現在)に拡大した。4月に控える送配電部門の分社化に対応する新システムの構築過程で、事前のテストに甘さがあったり、九電と複数のソフト開発会社の連携が不足したりしていたことが背景にある。復旧途上で新たなトラブルが判明する悪循環にも陥っている。

 九電によると、発端は年末年始に変更した託送料金(送電線使用料)の計算システムだった。1月8日に新たなシステムに顧客データを取り込んだ際、プログラムの誤りから一部が移行できなかった。その不備を発端に、システムの一部が機能不全に陥ったという。

 顧客への影響は当初、電気料金の請求書、購買電力料金の送付遅れだったが、その後、料金の過少請求や個人情報の誤通知も判明。1月分の正しい料金が請求できず、昨年12月の暫定料金を請求する顧客は47万件(5日現在)を超える。

 今回のデータ移行の対象は約800万件。九電は昨年9~12月、約2割に当たる160万件のデータで400のケースを想定してシステムの検証を行ったという。それでも、トラブルが相次ぐ現状に、担当者は「十分な確認を行ったつもりだったが、いま思えばテストが不足し、点検に漏れがあった」と認める。

 膨大なデータ処理を伴う大規模なシステム変更であるため、複数のソフト開発業者が関わっているが、九電と業者の連携にも課題があったという。九電幹部は「互いの持つ情報を共有できていない部分があった。統括する立場として不備が見つけられる体制になかった」と自戒を込めて言う。

 現在、協力会社も含め2200人が休日・夜間も交代勤務で復旧に当たる。1月下旬にシステム改修はほぼ完了したとするが、システムから漏れた4万件強の顧客データの一つ一つを打ち込んだり、電気料金を手計算して発送したりする作業にも時間を要している。

 九電幹部は「顧客や新電力、関係者に迷惑をかけている。3月までには完全復旧し、4月の分社化に影響がないようにしたい」としている。 (井崎圭)

「対応が遅い」経産相が苦言

 九州電力で大規模な業務系システム障害が発生している問題を巡り、梶山弘志経済産業相は10日の閣議後の記者会見で「私の感覚では(九電の対応が)遅い。もっと早く対応しなくちゃいけない」と述べ、復旧に時間がかかっている九電の現状に苦言を呈した。

 梶山氏は、3月をめどに復旧対応を完了すると九電から報告を受けているとした上で「いかに早く復旧させるかも安心、安全、企業の信頼につながる。しっかりと対応してほしい」と強調。国として「一刻も早い事態収拾のため、指導を行っていきたい」と話した。 (吉田修平)

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