会計検査院報告 「親方日の丸」意識を正せ

西日本新聞 オピニオン面

 税金の無駄遣いや不適切な会計処理は一向に後を絶たない。安直で無責任な「親方日の丸」意識が依然潜んでいないか。改善の指摘を受けた関係当局は改めて自戒してもらいたい。

 会計検査院が2018年度決算検査報告を公表した。国費を使う官庁や政府出資法人を調べた結果、税金の無駄遣いが判明したり、制度の改善を求めたりした事例は335件で、総額は約1002億3千万円だった。

 件数は過去10年では最少となり、総額も2番目に少なかったという。それでも1千億円以上もの国費が事実上空費されている現実は深刻である。検査院の指摘は「氷山の一角」ではないか-という疑念も浮かぶ。

 なぜ、こんな事業に税金を使ったのか、と耳を疑うような無駄が相変わらず目立つ。廃炉が決まった日本原子力研究開発機構大洗研究所(茨城県大洗町)の材料試験炉を調べたところ、運転再開の見通しが立たない中でウランの購入契約を結び、燃料を製造していた。

 検査院は約10億9千万円が無駄になったと指摘した。製造指示は早期の運転再開を目指していた担当部署だけの判断で行われていたというから驚く。

 今回の報告で特に注目したいのは、国民の高まる関心を踏まえて「重点的に検査した」という災害対策事業である。

 近年は台風や地震など被害甚大な自然災害が頻発し、国民生活を脅かしている。復旧・復興はもとより、防災・減災に向けた行政ニーズが高まっており、予算の増額や事業の拡大が想定される分野でもある。

 そこにメスを入れた調査によれば案の定、いくつもの無駄や問題点が判明した。例えば、河川管理施設や下水処理場で水門のゲートや排水ポンプを動かす電気設備は、最大級と想定される地震に対応できるように耐震調査が求められている。

 ところが検査院が調べると、調査対象の約6割で実施されていなかった。大規模な地震に備えるという基本的な教訓が生かされていない現実が浮き彫りになったと言えよう。

 また災害時に高速道路各社の拠点となる管理事務所を調査したら、東日本・中日本・西日本の3社で、約2割の非常用自家発電設備がハザードマップ(被害予測地図)の浸水想定区域にある事務所に設置されていた。

 管理事務所はインターチェンジの近くに位置するケースが多い。別の建物を災害対策拠点とするなど、大雨や河川氾濫に備えた柔軟な対応が求められる。

 国民の命と暮らしを守る災害対策の重要性は改めて言うまでもない。無駄を排し、必要な予算を有効に活用してほしい。

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