外国籍の子ども 「学ぶ権利」を保障せねば

西日本新聞 オピニオン面

 小中学校に通っているかどうか分からない外国籍の子どもが多数いる。その就学の促進にどう取り組むべきか。文部科学省の有識者会議が年度内にまとめる報告書の骨子案を示した。

 文科省が初めて行った調査によると、住民基本台帳に登録されている小中学生相当の外国人の子どもは昨年5月時点で約12万4千人いた。このうち、就学が不明の子どもは2万人前後に上る。九州でも福岡県を中心に200人を超えている。

 外国籍の子どもには就学義務はないが、国籍を問わず、全ての児童に教育を受ける権利がある。日本も批准した「子どもの権利条約」に明示されている。就学不明の割合が1割を超える現状は看過できない。

 骨子案は、自治体が行うべき就学状況の確認などについて国が指針を作るよう求めた。文科省はこれまでも通知を出して、自治体側に取り組みを促してはきた。新たに作る指針の実効性を高めるためには、法的な根拠付けも検討すべきだろう。

 この他にも骨子案には、文科省による就学調査の継続や日本語指導担当教員の確保など多様な施策が盛り込まれた。国や自治体が責任を持って実施すべきこともあれば、NPO法人など民間との連携が欠かせない分野もある。外国籍の子どもの就学を後押しするためにも、官民が力を合わせ、家族全体を支援する取り組みを広げたい。

 実際、外国籍の子どもの実態把握や就学支援には、自治体により大きなばらつきがある。文科省調査では、小中学生相当の全員を対象に学齢簿に準じた名簿を作っている自治体は、全体の5割を下回っている。

 先進的な例としては、外国籍の児童・生徒が多い浜松市が「不就学ゼロ」を掲げて支援を進める。教育総合支援センターを軸に、多様な母語による教育や就学の相談、児童・生徒の日本語能力に応じたきめ細かな指導などに取り組んでいる。

 こうした先行自治体のノウハウを全国に広げる方策はないだろうか。知恵を絞りたい。

 有識者会議の議論では、外国籍の子どもの就学も義務化することを検討したが、結論は出なかった。背景には、移民政策を認めない政府の方針がある。それでも、就学不明者が2万人前後も存在するという事実は、国際社会の批判も浴びかねない。

 「学ぶ権利」を保障するためにも、義務化の検討を進めるべきではないだろうか。

 さまざまなルーツの子どもたちを受け入れていくことが、豊かな多文化共生社会の実現にもつながる。そのための環境づくりを急ぐ必要がある。教育はその柱となるはずだ。

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