「大改革」待ち構える壁 サンダース氏第2戦勝利 民主予備選

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】米大統領選の野党民主党の候補指名レース第2戦は最左派のサンダース上院議員が勝利した。初戦を含め、医療保険制度の抜本見直しなど大改革を求める世論の期待を色濃く映し出した格好だ。だが、候補指名を争った前回2016年は3戦目以降、保守色が強い南部などで伸び悩んだ苦い経験がある。急激な改革を批判する党主流の中道・穏健派候補が追い上げを図る中、混戦を抜け出し、トランプ大統領への挑戦権を得るには幾多の困難が待ち構える。

 「私たちには働く人々の願いに応える政策があるから勝利できる。医療保険制度は人権だ」。サンダース氏は11日夜、東部ニューハンプシャー州での勝利を受けた演説で声高に訴え、改革の必要性が理解されていると胸を張った。

 初戦の中西部アイオワ州で首位争いをし、2戦目のニューハンプシャー州で勝利したのは、4年前と全く同じ展開だ。両州はサンダース氏ら左派の政策を支持するリベラル層が比較的多い地域とされる。しかも2戦目の舞台は、上院議員の選挙区バーモント州の隣という地の利もあった。

 しかし、サンダース氏が優位に立ったと評価するのは早計だ。クリントン元国務長官と争った前回は、人口の8~9割を白人が占める序盤戦の2州に比べ、4戦目のサウスカロライナ州など、民主党の主要支持層である黒人の多い南部で支持を広げられず、敗因の一つとして挙げられた。

 政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による全米規模の各種世論調査(平均値)では、バイデン前副大統領に代わりサンダース氏が首位に浮上した。ただ、黒人有権者が対象の世論調査では、黒人のオバマ前大統領を8年間支えた点を高く評価されているバイデン氏が支持率トップを維持している。

 序盤の相次ぐ「惨敗」に焦りを隠せないバイデン氏は11日、ニューハンプシャー州での開票を待たず、29日に予備選を控えるサウスカロライナ州へ移動。支持下落を食い止める「防火壁」(陣営)と位置づけて起死回生を期す構えで、サンダース氏にとって黒人層への支持拡大の妨げとなる。

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 サンダース氏には「支持率3割の壁」の存在も指摘される。第2戦の得票率も20%台後半どまりだった。

 同じ最左派のウォーレン上院議員と支持を分け合っているとはいえ、左派支持層にも「『社会主義者』と呼ばれるサンダース氏の主張は過激すぎて、大統領になっても民主党が政策立案に協力しない可能性がある」(中西部の男性会社員)といった懸念が根強い。過激な改革論への支持が党支持層全体にどれだけ拡大できるかは予測がつかない。

 党内の路線対立に絡み、中道・穏健派からの攻撃が一層強まるのも必至だ。

 第2戦でも首位を争った前市長のブティジェッジ氏に加え、急浮上して3位につけたクロブシャー上院議員、3月から参戦する前ニューヨーク市長で大富豪のブルームバーグ氏も中道候補として着実に支持を伸ばしており、対立の激化は避けられない。

 しかも、全米各州に割り当てられた計約4千人の「代議員」の獲得数を競う候補選びで、序盤の2戦の代議員数は2%弱にすぎない。勝利宣言の中で「世代を超えた何百万人もの草の根の活動がある」とも誇ったサンダース氏だが、支持拡大へ「この国を変える動きに加わってほしい」と呼び掛け、支持者を引き締めることも忘れなかった。

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