「オバさん」化が楽しい40代。女性人気コラムニストのエッセイ集

西日本新聞

 「お姉さん」と「オバさん」の境界線はいったいどこなのだろうか、という疑問が永らく筆者の頭を占めてきた。20代も終わりに近づく頃になると、だんだん周囲の人々(主に男性陣)から「オバさん」扱いされるようになる。しかし「オバさん」扱いされる方はまだまだ「女の子」や「お姉さん」のつもりでいるし、実際30代、40代になっても若々しくエネルギッシュで美しい女性は星の数だ。女性はいつ「オバさん」になればいいのだろう。その問いに答えてくれるのが『これでもいいのだ』だ。

 本書は人気コラムニストのジェーン・スー氏による、66篇のエッセイをまとめたもの。40代に突入してからも変わらぬ女友達との楽しい付き合いや、毎朝の化粧のしんどさ、パートナーとの家事分担の難しさなど、内容は多岐にわたる。

 特に面白いのが「私の私による私のためのオバさん宣言」だ。45歳の誕生日を迎え、「新米オバさん」となった著者。著者は自身のそれまでの「オバさん遍歴」をしみじみ振り返っている。「20代なんてもうオバさん」と考え、「オバさん」を初めて自称した10代最後。「オバさん」という言葉を投げかけられ、嫌な気分になったアラサーの頃。率先して「オバさん」を自称する派とオバさん呼ばわりを絶対許さない派の分裂が起こる30代。ガタのきた体に苦労しながら順応している40代。自他ともに認める「オバさん」となった今、「ようやくオバさんという言葉を自分のものにできた気がする。誰のためでもない、私の私による私のためのオバさん宣言だ」と著者は語る。真のオバさんは、「私、オバさんだから」という呪文を唱えれば、相手は「ならば仕方ない」と引き下がると。おまけに知ったかぶりをする必要もない。「世間にはびこる『オバさん』のイメージを逆手にとって、どんどんいろんなことをしてみたい!」と著者は胸をときめかせる。著者の真意に気づかず、侮ってオバさん呼ばわりする輩は華麗に足をすくわれるわけだ。なんだか胸がスッとする。

 娘、妻、母、祖母と人生の中でさまざまな役割を経験し、心と体の変化に翻弄される女性たち。そんな彼女たち(筆者含む)に向けて、まさに「これでもいいのだ!」と愛あるメッセージを届けてくれる、そんな一冊だ。

 

出版社:中央公論新社
書名:これでもいいのだ
著者名:ジェーン・スー
定価(税込):1,540円
税別価格:1,400円
リンク先:https://www.chuko.co.jp/special/janesu/

西日本新聞 読書案内編集部

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