混乱、風評、応援のメッセージ…新型肺炎に揺れる千葉・勝浦と横浜 (2ページ目)

西日本新聞 社会面 湯之前 八州 一ノ宮 史成

対岸の中華街、客はまばら

 12日夕。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が停泊する横浜港(横浜市)の大黒ふ頭周辺は立ち入りが規制され、張り詰めた空気が漂っていた。船に物資を積み込む白い防護服姿の作業員たちを、約30人の報道陣が遠巻きに見守る。見上げると客室のベランダには洗濯物のTシャツが干され、手すりにもたれ外を見守るような乗客の姿も確認できた。

 大黒ふ頭から海を挟み約3キロの対岸にある、横浜を代表する観光エリアに回る。約500メートル四方に約600店がひしめく中華街は平日とはいえ、観光客の姿はまばらだった。

 北京ダックが自慢の中華料理店に入ると、空席ばかり。男性店長(26)は「クルーズ船の停泊地が『横浜』と報道されてから、この状態です」。普段の休日1日の売り上げは300万円近いが、クルーズ船が来てから初めての休日は120万円に落ち込んだという。

 春節で母国に帰省した中国人従業員には、日本に帰ってきた後も14日間、自宅待機を指示。店内の全てのテーブルには消毒液を置き、徹底した感染予防もアピールする。店長は「感染者が1人でも出れば、中華街全体が終わってしまう。お客さんに安心して来てもらうために、できることは全てやる」と話した。

 目抜き通りで友人と小籠包をほおばっていた千葉県の女子高校生(16)は、「クルーズ船のことは頭をよぎったけど、ここからは離れてるし大丈夫」。ただ、心配性の祖母には横浜に遊びに行くことは伝えなかった。公園を散歩していた近所の男性(67)は「船には、世界各地から旅してきた人たちが乗っている。早く無事に収束するといいんだが」と案じ、対岸の巨大な白い船体に目をやった。(一ノ宮史成)

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「正確な情報、繰り返し発信を」

 風評被害に詳しい広瀬弘忠・東京女子大名誉教授(災害リスク学)の話 人々がデマやうわさを信じるのは、ウイルスのような見えない恐怖の裏付けを無意識に探そうとする人間の本能的な行動だ。伝わる人が多くなればなるほど、“真実”として拡散してしまう。デマを打ち消すには、国などが正確な情報を繰り返し発信する以外にない。全てを公表し、国民が「隠されている情報はない」と信じる状態まで持っていくことも、風評被害を防ぐ上では大切となる。

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