賃貸住宅補修も「定額制」に 北九州「オーナーズクラブ」利用物件4倍

西日本新聞 九州経済面 岩佐 遼介

 北九州市八幡西区の「オーナーズクラブ」(岩屋秀一朗社長)が手掛ける、全国的にも珍しい賃貸マンションやアパート修繕の「サブスクリプション(定額制)」サービスが浸透しつつある。オーナーにとっては月々の支出の見通しが立ちやすく、計画的に修繕を行うため、物件の良好な状態を保てる利点もある。利用する賃貸住宅は九州を中心に123棟(昨年末)と、同社設立から約8年で約4倍に増えた。

 賃貸住宅の修繕は必要な箇所が見つかるたびに行うのが一般的で、予期せぬ出費がオーナーの大きな負担となる。同社の定額サービスは修繕期間が15年。契約前に外壁や受水槽など約30項目を診断し、今後必要になる修繕内容と費用を示し、利用者は月額で分割払いする。修繕は緊急性の高い箇所から行い、アフターケアも実施。物件の売買に対応するため、途中解約にも応じる。

 利用する不動産賃貸会社「アルゴ」(北九州市小倉北区)の澤野俊秀社長は「急な修繕に備えて積み立てをする場合もあるが、経費に計上できなかった。定額の支払いだと経費に計上できるのも良い」と話す。

 オーナーズクラブによると、修繕を計画的に進めることで、修繕を行う人材の確保が容易になり、費用も抑えられるなど同社にとっても利点は多い。

 北九州市の防水加工会社の顧客だった住宅オーナーが2005年、修繕費用を定額で支払いたいと提案したことがきっかけで、同社や内装業者など修繕関連の6社が協力しながら定額サービスを開始。12年、事業のさらなる拡大を目指し、この6社が出資してオーナーズクラブを立ち上げた。

 国土交通省によると、賃貸住宅を巡っては近年、修繕されないまま老朽化が進み、最終的に空き家になる物件が増えていることが社会的な問題となっている。同省が16年に全国で行った抽出調査によると、賃貸住宅を所有する1258社のうち、計画的に修繕を実施しているのは約2割にとどまっており、同省は定期的な修繕を呼び掛けている。

 オーナーズクラブは東京や大阪にも営業拠点を設け、事業拡大を図っている。岩屋社長は「修繕のあり方を『随時』から『定期的』に再定義し、全国の不動産経営をより利便性の高いものにしていきたい」と話している。(岩佐遼介)

【サブスクリプション(定額制)サービス】商品やサービスの代金を定期的に徴収する方式。音楽や動画配信などで広く普及している。ラーメンの食べ放題、クリーニングなどでも導入されている。矢野経済研究所によると、2018年度の国内市場規模は5627億円(支払額ベース)。23年度には8623億円に拡大すると予測されている。

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ