【寄稿】WHOの台湾排除は不当 陳忠正・台北駐福岡経済文化弁事処長

西日本新聞 国際面

 台湾の駐福岡総領事に当たる陳忠正・台北駐福岡経済文化弁事処長が西日本新聞に寄稿した。新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大する中、台湾が世界保健機関(WHO)への参加が認められていない事態の問題点を指摘している。

新型肺炎終息へ連携必要

 中国で発生した新型コロナウイルスは感染が拡大しており、中国全土で感染が確認された患者は現時点で6万人を超え、死亡者数は2002~03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)を上回った。新型コロナウイルスへの対抗の最前線に立つ台湾は、早い段階から水際対策を強化し、感染者は18人にとどまっている。

 台湾の保険医療制度や医療水準は、世界で高い評価を受けている。例えば、世界各地の生活コストに関するデータを提供するウェブサイト「Numbeo」が発表した20年度のヘルスケア指数ランキングで、台湾は昨年に続きトップだった。米国のエグゼクティブ向け雑誌「CEO WORLD」が行った19年度のヘルスケア指数調査でも、89カ国・地域のトップだった。

 ただ、どんなに台湾の医療水準が高くても、人的往来が頻繁な昨今、国境をまたがる未知の感染症に対抗するためには、最新の防疫関連情報の獲得や他国との経験の共有が不可欠である。国連の専門機構であるWHOに加盟するのは当然のことだ。

 しかし残念ながら「一つの中国」を受け入れていない台湾は、中国政府の反対によってここ数年、WHO総会へのオブザーバー参加やWHO関連の技術会議、活動などへの参加すらできない状態にある。WHO憲章には、健康権は人間として有する基本的権利の一つであると記載されている。いかなる理由があろうとも、台湾住民2300万人が世界の医療ネットワークから不当に排除されることがあってはならない。

 台日間の人的往来は年々増える一方であり、昨年1年間の日本から台湾への訪問者は200万人を突破した。台湾から日本への訪問者も480万人に達している。また、台湾在住の日本人は約2万人に及ぶ。台湾が世界の防疫の抜け穴になれば、日本人への影響が懸念されることは否めない。

 台湾は、安倍晋三首相が今国会で「地理的空白を生じさせるべきではない」としてWHOへの参加を求める台湾の訴えを支持してくれたことを感謝している。台湾にとっては非常に励みになり、こういった支持の声の広がりは「徳は孤ならず、必ず隣有り(徳のある者は孤立することがなく、理解して助力する人が必ず現れるの意味)」を実証するものである。

 台湾は世界の公衆衛生および防疫体制に組み込まれることの必要性と緊急性を引き続きアピールし、新型コロナウイルスによる肺炎の終息に向けて高度な医療衛生技術や防疫経験を役立てていきたいと願っている。

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