担当記者からメッセージ「純粋に演奏楽しんで」 ブラスフェスに向け

西日本新聞 筑豊版 丸田 みずほ

 約100人もの仲間と一緒に演奏できたら、一体どんな気持ちになるのだろう。「イイヅカ☆ブラスフェスティバル」の練習風景を見ているだけの記者(25)からすれば、楽しそうでうらやましさが募り、私も中に入りたくなる。だが、人見知りの激しい記者が、もし今の部員たちと同じくらいの年齢だったらどうだろう。

 「もうすぐ合同練習だね。楽しみ?」

 ある中学生たちへの取材でこう問いかけると、「何と答えるべきなのだろう」と言わんばかりの表情で首をかしげた。昨年初参加したブラスフェスは「本当に緊張した。練習はピリピリした空気だったし…」と気が重そうな様子。話を聞いていると、どうやら他校の部員とうまく打ち解けられなかったのが、気が乗らない最大の理由らしい。

 分かるよ、その気持ち。誰もしゃべりださない。かといって自分がしゃべる勇気もない。初対面の人との間にただ延々と続く居心地の悪い沈黙。周りの様子が気になって仕方がなく、心から楽しめない人だっているだろう。

 「他のみんなは楽しそうなんですか?」

 取材中、不安そうな顔で尋ねられ、「緊張するけどいろんな人とやれて楽しいっていう子は多いね」などと気の利かない返答をしてしまった。すると「なんかキラキラしてる。一度や二度の合同練習で仲は深まらないと思う」と部員たち。大げさだが、「まるで自分たちとは違う世界にいる、輝いている人たちの話」として受け止められてしまったようだ。

 話しているうちに、記者も中学時代、他校との合同合宿で同じような気持ちになったことを思い出した。遠くにいる他の部員たちは、なぜか楽しそうに見えるのだ。「なんで自分は楽しめないんだろう」。そんなことばかりを考えて、不安な気持ちがつきまとった。

 合同練習当日の昼食時間。その中学生のグループはお互い目を合わせないよう、終始うつむき加減で黙々とご飯を食べていた。その光景は思わず「味、する?」と突っ込みを入れたくなるほど。片や隣のグループは、高校生による大声の「いただきます」で大爆笑だ。

 この日、その中学生のパートにたまたま高校生がおらず「正直やりやすかった」と話す。何でもないような顔をしているが、本当は隣から聞こえる笑い声に少しうらやましさを感じているようにも見えた。そして練習終了後、自分の中学の仲間と再会すると「ほっとした」という。中学生には悪いが、昔の自分を見るようで、共感しすぎて、少し笑ってしまった。

 いろいろあるが、演奏自体は楽しく感じていると教えてくれた。本番まであと一カ月。当日も純粋に演奏が楽しめたら、もうそれだけでいい気がする。いま抱えている不安や緊張、気まずさなど、全ての気持ちを含めて「あの頃は一生懸命だったなあ」とほほ笑ましく思える日がきっと来るよ。 (丸田みずほ)

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