シロウオ産卵場ピンチ 河川改修で川底に砂 福岡市・室見川

西日本新聞 一面 下村 佳史

 福岡市西部を流れる室見川で春を呼ぶ魚として親しまれているシロウオの産卵場の範囲が近年急速に狭まり、昨年は人工的に造成した産卵場以外ではほとんど卵を産んでいないことが福岡大工学部水工学研究室の伊豫岡(いよおか)宏樹助教(39)の調査で分かった。河川改修で流れが緩やかになり、産卵場の石が砂で埋もれたことなどが原因とみられ、伊豫岡助教は「人の助けがないと、産卵のための環境が維持できなくなっている」と訴えている。

 シロウオはハゼ科で全長6センチほど。海で成長し、2月から川を上り、海水と淡水が混じり合う「汽水域」で川底の石の裏に、約500個からなる卵の塊を産む習性がある。室見川では河口から2キロ付近の長さ800メートルの流域が産卵場だったが、1963年6月の集中豪雨を受けた河川改修で、この付近では農地を削るなどし川幅が広げられた。

 その結果、川の流れが緩やかになり本来、海へ流れ出ていた砂が堆積。川底の石を埋め、産卵場が減少していったという。このため研究室は2011年から、ボランティアの協力を得て長さ100メートル、幅30メートルの範囲で石を掘り起こしてちりばめ、人工的な産卵場を造成している。

 ただ、15年に室見新橋の下流に砂州が出現してからは、産卵場が人工造成した流域に偏りだし、18年は産卵を確認した11カ所のうち4カ所、19年は6カ所のうち5カ所が人手を加えた流域だった。

 シロウオの漁獲高は70年代初めには2千キロに達したが、近年は大きく低迷。シロウオが成育する博多湾の埋め立ての影響もあるとみられ、18年が45キロ、19年は39キロ。伊豫岡助教は防災面などに配慮した上で「上流の石を下流に、下流の砂を海に運び入れるなど、土砂を下流に運ぶ川本来の機能を意識した河川管理が必要」と提唱する。

 やなを使った今季のシロウオ漁は17日から始まる。 (下村佳史)

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