「そんなものは存在しない」と自民党の複数の政権が否定した…

西日本新聞 オピニオン面

 「そんなものは存在しない」と自民党の複数の政権が否定した「外務省機密費(報償費)の首相官邸への上納」を、政権を取った民主党が「過去にあった」と認めたのは、10年前の2月のことだ

▼そんなものがあるのか、と世間が驚いたのはさらにその10年近く前。外務省の要人外国訪問支援室長が詐取して不動産購入などに流用した5億円は、首相官邸に上納された一部とされた

▼闇の資金の存在を暴いた捜査の詳細はノンフィクション「石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの」(清武英利著、講談社、2017年)に詳しい。石つぶてのような無名の刑事たちの物語

▼これを原作にテレビドラマにもなった。刑事ドラマは近年ますます増えたが、総じて捜査1課の出番が多く2課ものは少ない。1課が追う凶悪殺人事件が目立つ現実社会と無関係ではなさそう

▼2課による汚職摘発件数は2010年前後から全国的に減った。元読売新聞記者の著者はそう書き添えている。執筆取材で多くの人に会ったが「汚職などない世の中になったと信じる捜査関係者はいなかった」とも

▼警察で進む組織管理化が関係しているようだ。石つぶてだった男は作中で思う-。社会規範すれすれのところで情報を得るなど「少し濁った水の中で息をしているはみ出し刑事と、それをあえて泳がせ責任は取る上司が、絶滅寸前」…。反発する何くそドラマを現実世界で見たい。

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