記録的な暖冬 風水害への「警鐘」なのか

西日本新聞 オピニオン面

 記録的な暖冬である。地球温暖化の影響があるとみられている。私たちに気候変動の大きさを実感させる。風水害への備えを促す「警鐘」であるとも受け止めたい。

 気象庁によると、九州各地で初雪の観測が遅れ、福岡では最も遅い観測日(1909年の2月6日)の記録を更新した。

 気温も記録的な高さで推移している。1月の九州北部の平均気温は平年より2・9度高く、46年に始まった観測史上で最高を更新した。2月は17日以降、一時的に冷え込むものの、全般に平年を上回る気温が続く見込みだ。

 ここ数年、深刻な風水害が起こるのは梅雨期に限らない。3月中旬から4月上旬にかけて、菜種梅雨と呼ばれる長雨のシーズンを迎える。今のうちから、備えたい。

 暖冬は市民生活にも少なからぬ影響を与えている。雪不足のスキー場など冬場の行楽地への人出が鈍ったり、冬物の衣料品や食品の売れ行きにブレーキをかけたりしている。生育が早まった野菜が値崩れを起こし、消費者にはありがたい半面、農家には打撃となっている。

 暖冬の原因は、インド洋西部の海面水温が高いため日本付近を流れる偏西風が北に蛇行し、大陸側からの寒気が日本に流れ込みにくいからだという。

 これは温暖化がもたらした結果だと示す直接的なデータはないものの、背景に存在することは否定できない。

 もちろん、暖冬ならば、その年は風水害が増大すると言い切れるものではない。それでも、温暖化という土台の存在を考えると、日本列島を近年襲った台風や豪雨による災害を思い起こさずにはいられない。

 温暖化により海面水温が上昇し、大気に含まれる水蒸気量も増えている。気象庁は、一昨年7月の西日本豪雨に関して、それまでの豪雨では必ずしも判然としなかった温暖化との因果関係を初めて明確にした。この意味は大きいだろう。

 昨年は梅雨末期を思わせる大雨が8月下旬に九州を襲い、気象庁は福岡、佐賀、長崎各県の広範囲に大雨特別警報を発表した。九州北部では3年連続の同警報となった。

 九州には1級河川だけで20水系があり、支流は約1500に上る。土砂災害警戒区域の指定対象も約14万カ所に上る。対象地域では十分な警戒が必要だ。まずは自治体が作成したハザードマップで自宅や職場の周辺で起こりうる災害を確認したい。公民館など避難場所を確かめるほか、飲料水や食料など避難用の備蓄品も点検しておくことも大切だ。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ