歳入増へ道筋示せず 職員削減や助成金減額も…杵築市の緊急財政対策

西日本新聞 大分・日田玖珠版 岩谷 瞬

 財政危機に陥っている大分県杵築市が先日まとめた緊急財政対策は、職員を17%減らし、市長や職員の給与をカットするなど大幅な人件費削減を進める一方で、廃止を一時検討していた温泉施設を残したほか、多くのイベントも継続するなど踏み込み不足は否めない。歳入をいかに増やすかの道筋も示せておらず、市民からは「これで本当に財政危機を脱出できるのか」との不安も漏れる。

 財政対策の目標は二つ。一つは、2022年度当初予算の歳入、歳出を169億円台で均衡させること。もう一つは、市の貯金に当たる財政調整基金残高を10億円以上確保することだ。

 歳出で最も削減されるのが建設事業などの投資的経費で、約25億円減らす計画だ。20年度は100メートル未満の道路の改良工事や、市営住宅の解体を見合わせる。

 人件費では、21、22年度の一般職員の新規採用を取りやめ、早期退職を促すなどして581人いる職員を99人減らす。さらに一般職員の給与も平均5%カットし、22年度までに約4億2千万円削減する。

 行政サービスの影響も大きい。利用者の少ないB&G海洋センタープール(本庄)と市営山香水泳プール(山香町野原)、石丸体育館(大田石丸)の3施設を廃止。市内6施設のほか、高齢者向けのコミュニティーバスやケーブルテレビの利用料金を増額。子どもや高齢者のインフルエンザ予防接種の助成金は減額する。

 一方、イベントで廃止されるのはひげ自慢コンクールのみ。他のイベントは、当初予算案に補助金費用を計上せず、今後の補正予算で対応する。市は当初、複数のイベント廃止や補助金の打ち切りを検討していたが、住民の反発もあり方針転換。規模縮小や民間からの協賛金を得て、可能な限り継続させるという。

    ◆   ◆

 歳入では、22年度までに財政調整基金約5億2500万円に加え、用途を定めて使う特定目的基金も約10億8千万円を取り崩す。05年の市町村合併後に中学校改築など集中的に進めてきた大型事業に絡み、借金返済に当たる公債費がかさんでいるからだ。

 市は「基金からの充当を減らす必要性は把握している」とするが、歳入の劇的な増加は見込めない。今回の財政対策でも、税収増加策には触れていない。

 10日から17日まで5カ所で行われている住民説明会では「会社で言えば倒産する状況だ。市長や市議のボーナスはすべてカットすべきだ」「現状のままでは同じことが起きかねない。責任の所在を明確にして」など、市幹部や市議への厳しい意見が目立った。

 一方、財政対策や市の将来を心配する意見も少なくない。10日に市健康福祉センターで行われた説明会で、30代男性は「企業進出や若者の移住が増えるよう前向きな議論をしてほしい」と要望。60代男性は「この対策で財政危機を乗り越えられるのか。イベントなど削減できるものがあるのでは」と指摘する。

 永松悟市長は「市を財政再生団体に転落させず、持続可能な財政運営を確立するための対策。市民の理解をいただいた上で、着実に実行していきたい」としている。 (岩谷瞬)

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