鍋島直正、娘への手紙196通 報效会が「書簡集」刊行 父の愛情映す

西日本新聞 佐賀版 穴井 友梨

 鍋島家の史料を所蔵している「鍋島報效会(ほうこうかい)」が、佐賀藩10代藩主の鍋島直正が長女の貢姫(みつひめ)に宛てた196通の手紙をまとめた資料集「愛(まな)娘への手紙 貢姫宛て鍋島直正書簡集」を刊行し、販売を開始した。娘を思って書いた手紙1通1通を写真や解説文で紹介し、名君とたたえられる直正の父親としての一面を読み取ることができる。

 貢姫は直正の第1子。1855年に川越藩主の松平直侯(なおよし)に嫁ぐ少し前から、10年以上にわたり直正と手紙を送り合った。同会は直正の人物像に迫ろうと、鍋島家などが所蔵していた貢姫に宛てた手紙196通の解読を2005年から開始。同会の学芸員や地元の郷土史研究者が解読や時代考証を重ねて15年間かけて刊行にこぎ着けた。

 資料集は621ページの本編と77ページの附録編で構成。花々や鶴亀、扇などの模様が入った和紙に書かれた手紙をカラーで掲載している。くずし字を起こした「翻刻文」だけでなく現代語訳や人名などの解説も添え、理解しやすくまとめている。

 収録された手紙のうち、1865~66年に送られたとみられる落ち葉の模様の手紙では、貢姫が住む江戸で天然痘が流行していることを心配して「用心のためもう一度引痘(予防接種)された方が安心です」「父の余計な老婆心と思われるでしょうが」などと記され、娘の体調を案じる直正の愛情深い一面がうかがえる。

 同会によると、一人の藩主が特定の家族に宛てた自筆の手紙がまとまって現存することは珍しいという。佐賀大地域学歴史文化研究センターの伊藤昭弘准教授は「直正の内面や思考が分かる文書は極めて少ない。詳しく精査することで幕末佐賀藩の研究に新たな面を見いだせるのではないか」と評価する。

 同会は「ほかの大名や部下に送ったものとは違い、父や家長としての姿がうかがえる内容。多くの方に見てほしい」としている。

 600部を発行し、佐賀市松原2丁目の徴古館で販売。1部2万5千円。同館=0952(23)4200。 (穴井友梨)

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