景気、五輪前に腰折れも GDP年6.3%減 民需総崩れ、肺炎リスク

西日本新聞 総合面 古川 幸太郎

 2019年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は消費税増税による個人消費の落ち込みで、5四半期ぶりのマイナス成長に沈んだ。「万全」の増税対策を講じてきた政府だったが、そもそも消費の基調が弱かったとの指摘もある。今後、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)拡大の影響が広がれば、20年1~3月期もマイナス成長になる可能性があり、夏の東京オリンピック・パラリンピック前に景気は腰折れしかねない。

 堅調だった内需の弱さが露呈した。大型台風の影響も重なり、GDPを支える個人消費は前期比2・9%減、設備投資は3・7%減。住宅投資も2・7%減となり、頼みの民需が軒並み総崩れとなった。

 自動車や家電などの耐久財(12・8%減)をはじめ、衣料品を中心とする半耐久財(6・2%減)、軽減税率が導入された食料品を含む非耐久財(2・8%減)も落ち込んだ。駆け込み需要が見られなかった外食や旅行などのサービスも減少した。

 政府は軽減税率やキャッシュレス決済時のポイント還元策など対策を講じてきた。西村康稔経済再生担当相は17日の記者会見で「緩やかな回復基調との見方は変えていない」と述べ、増税の影響について「限定的」との立場を崩していない。

 だが、19年度決算で下方修正を余儀なくされた百貨店幹部は「増税の影響が大きく、売り上げの戻りが鈍い」と漏らし、消費の基調は弱いとの認識を示す。エコノミストも「手厚い増税対策を超える(消費の)落ち込み、というのが妥当な見方だ」と指摘する。

 市場も増税後のマイナス成長を想定してはいたものの、個人消費など内需の不振が長引けば景気のけん引役を失う恐れがある。

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 政府は20年1~3月期にはプラス成長に転じ、緩やかな景気拡大は続くとみていた。しかし新型肺炎の感染拡大は、日本経済に大きな影を落とし始めている。

 日産自動車の子会社、日産自動車九州(福岡県苅田町)の工場は中国から部品が届かず、一時休止に追い込まれた。今後、中国工場での操業停止に加え、サプライチェーン(部品供給網)が寸断されれば、国内生産や輸出が落ち込むリスクもある。日産幹部は「どのような影響が出るか見えない」と不安を隠さない。

 訪日中国人の減少によるインバウンドの落ち込みも深刻だ。第一生命経済研究所の試算では、3月までに日本に来る予定を立てている団体客40万人がキャンセルになれば、800億円以上のインバウンド消費が失われると指摘。別の分析では、GDPを年率1%分押し下げる可能性があるという。

 政府は昨年12月、事業規模26兆円の経済対策を打ち出し、下振れリスクを指摘されていた夏の東京五輪後も景気を下支えするつもりだったが、シナリオは崩れつつある。政府関係者は「消費増税や(米中貿易摩擦などの)海外要因を言い訳にできないほど次(20年1~3月期)の実態が厳しくなれば、景気のフェーズが変わる恐れもある」と懸念する。 (古川幸太郎)

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