日々の空模様は気になるのに、目線はいつも下向き…

西日本新聞 オピニオン面

 日々の空模様は気になるのに、目線はいつも下向き。四季の移ろいを伝える木々や野鳥の姿にも目が向かない。そんな人が増えているようだ

▼気象衛星のおかげで予報の精度は向上した。外の景色には無頓着でも、天気は手元のスマートフォンが教えてくれる。その半面、人が体感で大気の変化などを察知する能力は退化していないか。大自然の営みはまだまだ科学では捉え切れないのに

▼ウメ、ツバキ、タンポポ、ヒバリ、ウグイス、ツバメ…。全国の気象台は木々の開花や鳥の初鳴き、初見の日などを毎年チェックしている。生物季節観測と呼ばれる

▼気候が動植物に及ぼす影響や季節の進み具合を探る作業だ。福岡では1月にウメ、ツバキ、タンポポが開花し、昨日はヒバリの初鳴きが確認された。ただウメ、ツバキの開花日は昨年より遅かった

▼九州にはやっと冬らしい寒気が流れ込んだ。暖冬でも春はもう少し先なのか。動植物はそんな微妙な気象を察知しているのかも。人間の科学では正確な長期予報はまだ難しい

▼気象技術といえば、富士山頂レーダーの建設などに取り組み、その経験を文学作品として開花させた人物がいる。気象庁職員から作家に転身した新田次郎。山岳を主舞台に自然の脅威やそれをみくびった人間の愚かさなどを描いた。自分の目と耳で現場の調査や取材を重ねる緻密な作風が持ち味だった。彼が逝って今月で40年が過ぎた。

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