選手気分でレース…記者が競輪やってみた 舞台裏ツアーも 小倉競輪場

西日本新聞 もっと九州面 山下 航

 「競輪は小倉が発祥」。北九州市に住んでいるとよく聞く話だが、競輪に疎い記者(30)にはなかなかピンとこなかった。そんな中、小倉競輪場(北九州メディアドーム、北九州市小倉北区)では初心者も参加できる無料の体験型イベントが定期的に開かれていると耳にした。競輪の魅力を探ろうと参加を申し込んだ。

 参加したのは、レース開催日に合わせて行われている「ちゃりんこナイトレース」と「けいりん舞台裏ツアー」。1月下旬、まずは公式レースの合間に行われたちゃりんこナイトレースに挑戦した。この日は記者を含め20~40代の男性4人がエントリー。女性や子どもなど参加者によってはハンディがつくという。使う自転車は選手用と異なりブレーキがついているが、ユニホームやヘルメットは選手と同じものだ。

 1周400メートルを走って順位を競う。競輪といえば傾斜のあるすり鉢型の競走路(バンク)が印象的だが、このレースでは安全のため、傾斜の浅い内側部分を走る。

 記者は中学から大学時代までずっと自転車通学だったが、社会人になってからはほとんど乗っておらず、たまにスポーツジムで自転車型トレーニング器具をこぐ程度。「ちゃんと走れるのか」と不安がよぎった。

 選手紹介のアナウンスが流れる中、4人が入場。大型ビジョンに姿が映し出され、観客席から「頑張れ!」と声援が飛んだ。気分はまさに競輪選手だ。

 スタートラインに立ち、号砲とともに自転車をこぎ始めた。が、序盤から他の選手にぐんぐんと突き放される。「まずい」。頭が真っ白になった。終盤のコーナーで加速を図ったが、遠心力の影響なのか、バンクの外側に引っ張られるような感覚になり、うまくスピードに乗れない。結果は無念の最下位だった。

 1位に輝いたのは横浜市から訪れた競輪ファンの男性(41)で、序盤からリードを維持して逃げ切り、「作戦通り」と笑顔。「小倉競輪場には初めて来たが、バンクがきれいで天井も高い」と興奮気味に語ってくれた。1位の人には毎年秋に行われる「グランプリレース」への出場権が与えられる。

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 1週間後には舞台裏ツアーに参加した。スタッフの松尾省吾さん(27)に案内され、まず訪れたのは、出走前後の選手が行き交うスペース。控室では大勢の選手がトレーニングしたり、くつろいだり。観客席から見えない選手たちの素顔があった。

 薄暗い地下通路を通ってたどり着いたのは、選手がレース期間中に寝泊まりする宿舎だった。不正防止のため選手は期間中、外部との連絡を遮断される。携帯電話など通信機器を持ち込むこともできないという。

 再びドームに戻り、選手が車体の点検などを行う検車場を巡った後、7階の審判室を訪れた。レースの行く末を真剣な表情で見つめる5人の審判員。選手がゴールすると、着順を写したモニターの元へ素早く駆け寄り、「1、9、4」と声を掛け合ってあっという間に順位を決めた。「小倉は順位確定までのスピードが全国トップクラスと評判です」と松尾さんが教えてくれた。

 最後にバンクへと下り、号砲や打鐘(ジャン)を鳴らす体験をしてツアーを終えた。

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 競輪は近年、無観客で夜遅くにインターネット中継する「ミッドナイト競輪」の普及で売り上げは持ち直しているが、競輪場の入場者数は右肩下がりが続く。競輪事業を運営する公益財団法人JKAによると、2018年度の小倉競輪の入場者数は4万3548人で、09年度に比べ半減した。

 高齢化も顕著だ。昨年11月に行った入場者へのアンケートでは、平均年齢が53・5歳で、4人に1人は70歳以上だった。参加した二つの体験イベントには、家族連れなど若い人のファン拡大の狙いもあるという。

 記者にとって競輪はギャンブルのイメージが強かった。イベントに参加し、バンクの雰囲気や選手、運営スタッフの素顔に触れて感じたのは、むしろスポーツとしての魅力だった。

 「けいりん舞台裏ツアー」と「ちゃりんこナイトレース」 小倉競輪場で開催されるナイトレースの1日目と2日目にそれぞれ実施している。希望者は各日の第3レース終了までに、4階「ケイリンガイダンスコーナー」で申し込む。定員6人程度で、応募多数の場合は抽選。ちゃりんこナイトレースは参加者が少なければ中止の場合もある。(山下航)

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