首相のやじ 国会軽視の姿勢を改めよ

西日本新聞 オピニオン面

 通算在職日数で歴代最長記録を更新中という首相が、国会審議中に発したやじで謝罪に追い込まれた。嘆かわしいというほかない。首相は今度こそ、国会軽視の姿勢を改めるべきだ。

 安倍晋三首相は12日の衆院予算委員会で立憲民主党の辻元清美氏の質問を受けた後、閣僚席から「意味のない質問だ」とやじを飛ばした。

 辻元氏は「桜を見る会」の問題や森友・加計(かけ)学園を巡る疑惑に絡め「タイは頭から腐るという言葉をご存じか」などとトップとしての姿勢を批判した。こうした質問が首相には「罵詈(ばり)雑言」と聞こえたらしい。

 これに野党は「国会軽視も甚だしい」「議会制民主主義に対する冒涜(ぼうとく)だ」と猛反発し、翌日の予算委は流会となった。

 首相はきのうの予算委で「辻元氏におわびする」と謝罪するとともに、「不規則発言は厳に慎むよう、首相として身を処していく」と述べた。

 新年度政府予算案の質疑や新型コロナウイルスの感染拡大に関する対応など、重要なテーマを抱える国会の審議が首相のやじで止まるのは由々しき問題である。野党だけでなく、与党内からも首相のやじをいさめる声が相次いだのは当然だろう。

 首相のやじが問題化して国会が混乱するのは、今回が初めてのことではない。同じ辻元氏に対して首相は5年前にも「早く質問しろよ」とやじを飛ばしていた。

 気になるのは、やじなど不規則発言だけではない。今国会でも首相は「桜を見る会」疑惑を追及する議員に「根拠がないことを言うのはうそをつくのと同じ」「何とかの勘繰りでは」など不用意で荒い答弁を連発し、野党の強い批判を浴びてきた。

 公文書の改ざんや廃棄、官僚の忖度(そんたく)といった一連の疑惑に関連する質問に同じ答弁を繰り返したり、はぐらかしたりする姿勢も目立つ。首相は14日の政府与党連絡会議でも国会質疑について「謙虚に丁寧に説明を尽くしていく」と改めて発言したというが、この約束を聞くのは一体、何度目だろう。

 共同通信社が15、16両日に実施した世論調査によると、安倍内閣の支持率は41・0%で1月の前回調査より8・3ポイントも急落した。不支持率は46・1%で9・4ポイントの増加だった。「桜を見る会」の疑惑について首相が「十分に説明していると思わない」は84・5%に達した。むべなるかな、である。

 国会答弁を聞いていても公私混同の疑惑は一向に晴れない。かっとなると、閣僚席からやじを飛ばす。そんな首相の政治姿勢と国会対応への国民の批判の高まりと受け止めるべきだ。

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