北九州の市道事業費、2倍に膨らむ 工場補償費の大幅増が原因

西日本新聞 北九州版 竹次 稔

小倉南区の「横代南町山手1号線」

 北九州市小倉南区で建設中の「市道横代南町山手1号線」の事業費は2005年度の着工当初から2・1倍に膨らみ、約74億円に上る見通しだ。整備区間にある工場の設備補償費が見込みを大幅に上回った。市は「当時の試算資料は残っていない」としている。公共事業評価の目安となる費用対効果の計算値も悪化し、市議会からは批判の声が上がっている。完成は市の計画から5年延びて27年度となる見込み。

 同1号線(1キロ)は、国道10号の南側に平行して設置し、小倉南区内の東西アクセスを改善させる位置づけで、05年度時点で想定した総事業費約35億円。同1号線から東側に連結する「市道横代南町3号線」(700メートル)は08年度、同1号線の一部(740メートル)は13年度に完成した。

 同1号線の残る計画区間(260メートル)は、浄水器メーカー大手タカギの本社工場と住宅地(約十数軒)を横切り、市道の「蜷田(になた)若園企救丘線」につなげるもの。

 タカギは同区内に本社工場を移転させ、新社屋は23年に完成する予定。市は当初のタカギへの補償見込み額は明らかにしていないが、17、18年度、市が工場を調査したところ、隣接工場の設備にも移転の影響が出ることなどが判明し、同社への補償費だけで約33億円増えたという。

 市道路建設課は「工場資産を調べた事例が当時から少なく、施設の中をみて詳しく算定したものではなかった」と大幅な増額となった背景を説明するが、市議会では「公共事業への市民の不信を招く。補償算定の精度を高めるべきだ」などと厳しい批判が出ている。

 増額の結果、同1号線と同3号線を合わせた1・7キロの費用に対する効果見込みは当初の1・69倍から1・1倍と、事業妥当性の目安となる1倍近くまで下落した。

 市は公共事業評価の手続きも踏まえて昨年末、「代替案がなく、路線の重要性は高い」などとして事業継続の方針を決定。20年度は住宅地の補償交渉も進める。(竹次稔)

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