炭鉱電車は大牟田の宝 「物語受け継ぐ」講演会で価値を再認識

西日本新聞 筑後版 吉田 賢治

 かつて炭都と呼ばれた福岡県大牟田市を走った「炭鉱電車」の価値を語る講演会が、同市の石炭産業科学館で開かれた。鉄道の産業遺産に詳しい専門家らが登壇し、同市西港町の三川坑跡に保存されている電気機関車4両や、引き継がれて現役で稼働する三井化学専用鉄道の歴史的価値を解説。参加者は保存の意義を改めて確認した。

 炭鉱電車が走った三池炭鉱専用鉄道は1905年には本線が完成し、大牟田市と熊本県荒尾市に点在する坑口や三池港を蒸気機関車が結んだ。37年には全線の電化がほぼ完了。支線も含めれば総延長は約18・5キロに及び、一時は従業員の通勤にも利用され、市民からは「炭鉱電車」と呼ばれて親しまれた。

 しかし炭鉱産業の斜陽化で徐々に路線は縮小。97年の三池炭鉱閉山で「炭鉱電車」の役目は終了し、一部の支線のみが三井化学専用鉄道として稼働している。一方で、三池炭鉱専用鉄道敷跡の一部は2015年に「明治日本の産業革命遺産」として、宮原坑や三池港などとともに世界遺産に登録されている。

 同館などが主催した15日の講演会には市民約40人が参加。日本機械学会フェローの松岡茂樹さんは、三川坑跡に保存展示中の4両について「現存する最古の電気機関車の可能性もあるが、最古ではなくとも価値は大きく下がらない」と指摘。運転や保守管理といった技術にも無形の価値があるとし「単に古いから残すのではなく、炭鉱電車に込められた人々の知識、誇り、物語を次世代に受け継ぐことが大切」と強調した。

 市民団体「大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ」の藤原義弘さんは「三井化学専用鉄道を走る電気機関車は100年以上を経ているが、その姿はとても美しい。動く形で永遠に残してほしい」と思いを語った。 (吉田賢治)

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