難題山積、手腕は未知数 電事連新会長に九電・池辺氏

西日本新聞 総合面 井崎 圭 吉田 修平

 大手電力会社でつくる電気事業連合会(電事連)の会長に、九州電力の池辺和弘社長が就任する見通しとなった。東京電力、関西電力、中部電力の売上高上位3社以外から初めての就任となるが、政官との調整力など業界トップとしての手腕は未知数。関電の金品受領問題で大手電力に厳しい視線が向く中、信頼回復も重い課題となる。

 今回の異例の人事の背景に透けるのは、電事連の運営基盤の弱体化だ。

 電事連会長は、福島第1原発事故後の2011年4月に清水正孝氏(元東電社長)が辞任。その後は関電と中部電で回したが、19年6月に就任した岩根茂樹会長(関電社長)が金品受領問題で辞任。前任の勝野哲中部電社長が“緊急登板”で復帰していた。

 勝野氏は今回、社長退任と合わせて電事連会長も退任することになったが、原発事故対応で事実上国有化された東電、金品受領問題に揺れる関電からの後任就任は理解を得られない。原発の再稼働実績や経営規模などを考慮すると「選択肢は九電しかなかった」(電事連関係者)という。

 池辺氏は、異例の22人抜きで九電の取締役に就き、経営戦略策定や新事業創出をけん引。社長就任後も海外事業を積極展開するなどし、能力や人柄が社内外で評価される。水面下では昨秋に岩根氏が辞任した時点で後任に推す声があったが、調整がつかず勝野氏が再登板した経緯もあった。

 ただ、池辺氏が大手電力を束ね、エネルギー政策などへの発信力を発揮できるかは不透明。「上位3社と他の電力会社との間には、政治力、経験値など多くの部分で超えられない『壁』がある」と、ある大手電力関係者は本音を口にする。

 東日本大震災後、業界を取り巻く環境は激変した。原発再稼働は停滞し、電力小売り全面自由化に伴い大手電力間のかつての結束は揺らぎ、新電力の脅威にもさらされる。電事連も存在意義が問われている。

 関電の金品受領問題を巡っては、他の大手電力にも疑いの目が向けられた。九電は調査の結果「受領はなかった」としたが、対象を広げて追加調査する可能性もある。業界トップとして先頭に立って透明性や健全性を示せるかも問われそうだ。 (吉田修平、井崎圭)

 池辺 和弘氏(いけべ・かずひろ)東大卒。81年九州電力。執行役員、取締役常務執行役員などを経て、18年6月から社長。62歳。大分県日田市出身。

 電気事業連合会 1952年に設立された任意団体で、全国の大手電力10社が加盟。電力会社間の情報交換に加え、原子力発電など電気事業の重要な政策についての方針を決定し、政治に対する働きかけも担う。会長人事は10社の社長による互選で決める。事務局は東京・大手町の経団連会館。

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