骨髄ドナー支援に地域差 休業補償なく辞退も…国に制度化望む声

西日本新聞 一面 坂本 公司

 競泳の池江璃花子選手(19)が白血病を公表して以降、骨髄移植のドナー(提供者)登録数が急増する中、ドナーへの休業補償制度が注目されている。国にはないこの制度を独自に設ける市町村の割合は都道府県によって大きな差があり、九州では大分が全市町村で導入済みの一方、鹿児島はゼロ。福岡も約2割にとどまる。市町村に対する県の助成の有無が影響しており、患者や家族からは統一的な制度づくりを国に望む声も強まっている。

 ドナーになると、骨髄液採取や健康診断などで10日程度の入院や通院が必要。特別休暇制度などを設ける企業や官公庁もあるが、制度がない会社で働く人や自営業者の中には、収入が減ることへの不安から提供をためらったり、提供の意思があっても仕事を休めず辞退したりするケースもあるという。

 こうした企業などに代わって、市町村が補償金を支給するのが休業補償制度。1日当たり2万円を最大7日間支給することが多い。

 九州では、大分県が2017年度に市町村が支給した費用の半額を助成する事業を始め、翌年度には全市町村で補償制度が整った。福岡県は19年度から助成事業を開始。その後、支給を始めた市町村もあり、福岡市は20年度から支給する。

 一方、市町村への助成がない佐賀や長崎など5県では補償金を支給している市町村は1割未満。佐賀県などは「国に統一的対応を求めている」と助成を検討しておらず、長崎県は「時期は未定だが、残りの市町が一斉に始められるよう助成を検討中」としている。

 日本骨髄バンク(東京)によると、1月末現在、全国のドナー登録は52万8119人。池江選手が白血病を公表した昨年2月は1万人以上が新規登録し、以降も毎月3千人超が登録している。ただ、年間約2100人の患者が移植を希望し、約95%で移植に適した白血球の型が近い人が見つかるものの、実際の移植件数は6割未満にとどまる。

 日本骨髄バンクは市町村の補償制度について「ドナーの経済的負担の軽減だけでなく、自治体を挙げてドナーを応援するという機運にもつながり、提供への後押しになる」と普及を期待。血液疾患の患者や家族でつくる「リボンの会」(福岡市)の宮地里江代表は「ドナーへの支援のばらつきは、患者の不利益につながる。補償制度の拡大へ国も早く取り組んでほしい」と話した。 (坂本公司)

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