養育費不払い、「自営業」が強制執行の壁に 法改正でも残る課題

西日本新聞 黒田 加那

 「離婚して4人の子どもを育てているが、元夫が養育費を払ってくれない」。福岡県内の40代女性から特命取材班に悲痛な声が寄せられた。女性は元夫と公正証書を作り、養育費の支払い義務を果たさなければ強制執行で資産を差し押さえる内容も盛り込んだ。ところが、元夫とは連絡不通で預金口座が分からなくなり、自営業であることから給与の差し押さえができないと判明したという。養育費不払いが問題化し関連法の改正も進むが、取材を進めると、なお課題が残っていることが浮き彫りになった。

 女性は2018年に離婚。元夫は養育費として毎月計10万円(子1人につき2万5千円)を支払い、進学時には別に協議する-などとする内容で合意し、公正証書を作成した。履行しない場合、裁判所が認めれば資産を差し押さえることができる強制執行の項目も盛り込んだ。

 元夫が養育費を振り込んだのは最初の2カ月だけで、催促にも応じなかった。1年後には、養育費を毎月4万円に減額することを求める内容証明が届いた。「裁判所で話し合って決めるべきだ」と返答したが音沙汰はなく、携帯電話も着信拒否されるようになった。

 女性は家事や育児をしながらパートで働き、手取りは月10万円弱。児童扶養手当などを加えても生活は厳しい。高校生の長女は、大学進学を目指して毎晩遅くまで勉強に励む。「本当は進学したらいけんよね?」という気遣いに心が痛む。

 女性は強制執行について弁護士に相談したが、思わぬ壁に当たった。元夫は自営業。収入は法的に給与に当たらず、会社員や公務員の給与のように差し押さえの対象とはならない。

 預金は差し押さえの対象だが、元夫とは疎遠になっているため、個人口座が分からない。経営する法人は分かっているので、その口座を差し押さえればと考えたが、元夫個人の養育費の不払いが理由では原則的にできないと説明された。

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