天神ビッグバン 九州の未来を感じる街に

西日本新聞 オピニオン面

 福岡市の都心・天神のつち音がより大きくなる。アジアと九州の拠点都市を目指し、どんな街に生まれ変わるのか。期待を込めた視線が注がれている。

 ファッションビルの天神ビブレが先週閉館し、隣接する天神コアも3月末に営業を終える。天神を南北に貫く渡辺通りと東西に走る明治通りの交差点に位置する「福ビル街区」が再開発に向けて解体に入り、「天神ビッグバン」の本丸が動きだす。

 天神ビッグバンは、建物の高さと容積率の制限を緩和し、再開発を促す市の政策だ。2015年に始まり24年末までに、天神交差点の半径約500メートルのエリアにある老朽建物の建て替えを目指す。その効果は延べ床面積で1・7倍、雇用は2・4倍になると市は試算している。

 建物のデザイン性の高さ、敷地内に公共空間や緑地を確保する-との条件を満たせば、事業主に容積率アップなどの特典を与える制度もある。うまく使えば街にゆとりが生まれ、多様な交流の舞台となるだろう。

 いま福岡はIT関連産業、漫画やゲームといったコンテンツ産業が集積している。市が支援に力を入れるベンチャー企業、起業家も集まってきている。

 こうした福岡の特長を後押しする視点もビッグバンには欠かせない。既に工事が進む天神西の旧大名小学校跡地の再開発は、既存の創業支援施設と連携するスペースを設ける計画だ。

 国際的会議・展示会を意味するMICEの受け皿となる施設の充実も必要になる。アジアと九州全域からヒト、モノ、カネ、そして文化が集まり、イノベーション(技術革新)に限らない新たな価値を創出する場になるはずだ。九州の未来をイメージし、訪れる人々にそれを感じさせる街を目指してほしい。

 福ビル街区(幅約100メートル、奥行き約80メートル)に建つ新ビルは地上19階、地下4階で商業施設やオフィス、ホテルを備える複合型だ。天神の新たなランドマークとなる可能性もある。

 むろん課題はある。ファッションや音楽、スポーツなど多彩な文化を発信してきたビブレやコアを含む、天神の4商業施設が建て替えでなくなる。若い女性や親子連れが天神から離れるとの懸念も広がる。

 ビッグバン全体の完成まで約4年、天神への集客を維持する仕掛けは必要だろう。官民の連携組織も設立されている。知恵の絞りどころだ。

 コアには現在、44年の歴史を振り返る特設展示がある。「仕事あがりの憩いの場」「第2の家」といった顧客のメッセージを目にすることもできる。これからの「まちづくり」にも暮らしに寄り添う発想は大切だ。

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