経路不明で拡大見通せず 「感染期」に移行? 新型肺炎、福岡で確認

西日本新聞 総合面 井上 真由美 斉藤 幸奈

 福岡市で初めて新型コロナウイルス感染者が確認され、九州にも感染が広がった。感染経路は明らかになっておらず、拡大リスクは見通せない。専門家は「今の段階で行政や市民が予防策を徹底することが、ウイルスのまん延を防ぐ」と警戒を呼び掛ける。

 感染が確認された市内の60代の夫婦に最近の渡航歴や国内旅行はなかったという。飯塚病院(福岡県飯塚市)感染症科の的野多加志部長は「全国的に『国内発生早期』から、患者が増えて感染経路をたどれない『感染期』に移行しつつある」とみる。九州大病院(福岡市)グローバル感染症センターの下野信行センター長も「他県でも渡航歴や患者との接触歴がない感染者が報告されており、感染経路の特定は難しくなっている」と指摘する。

 ただ、男性は感染後、不特定多数の人と濃厚接触した可能性は低いとみられる。福岡県医師会で感染症を担当する稲光毅理事(小児科)は「街ですれ違ったり、公共交通機関で乗り合わせたりした程度で感染するとは考えにくく、今回の感染から一気に広がる可能性は低いのではないか」とする。国内の感染報告は屋形船や病院、家庭内など比較的閉じた空間での濃厚接触によるものが多い。下野センター長は「市中感染がまん延しているなら、普段の診療でもっと疑わしい例を診ているはず」と話す。

 いずれの専門家も「現段階の対応が今後のリスクを左右する」と声をそろえる。的野部長は「高齢者や持病がある人は重症化しやすく、周囲が感染させない行動を取ることが求められる。『自分を守る』だけでなく『他人を守る』視点が重要だ」と訴える。下野センター長は「抗エイズウイルス(HIV)薬に効果がある可能性も指摘されている。福岡は行政の下、医療機関が連携し、診療態勢も十分に整っている」と強調する。

 市民一人一人にできることは、従来呼び掛けられている「こまめな手洗いやせきエチケット」などの予防策をあらためて徹底することに尽きる。パニックにならず、冷静な対応が求められている。 (井上真由美、斉藤幸奈)

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