市中感染前提に自衛を 医師ら指摘 症状軽く未受診も

西日本新聞 総合面 黒石 規之 一瀬 圭司

 福岡市で感染が確認された60代の夫婦は家族感染とみられるが、外部から夫婦への感染経路は不明で、街中で感染が広がる「市中感染」の疑いが強まっている。「ウイルスは九州にどうやって入ってきたのか」。関係者に不安や戸惑いが広がっている。

 「詳細に行動歴を聞いているが、これと言って本当に分からない。これ以上の感染源の追跡は難しい」。市健康医療部の石井美栄部長は20日夜、記者会見で苦渋の表情を浮かべた。

 最初に発症した夫に市の保健所が同日朝から聞き取り調査を始めたが、感染経路につながる情報は得られていない。

 夫は最近、国内旅行もしていない。1日~2週間程度とされるウイルス潜伏期間中の行動歴では、中国人観光客などと濃厚接触した形跡はなく、自転車で買い物に行くなど一般的な日常生活を送っていたという。

 市中感染の可能性に石井部長は「結果として否定できない」と述べた。

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 国内感染の状況は、中国への渡航歴や中国から来た人との接触歴があり、感染経路の追跡ができる場合が大半だった局面から一変。今月中旬以降、人から人への感染が連鎖的に起きる市中感染とみられる例が各地で相次いでいる。

 先週まで「国内で流行している状態ではないとの見解を変更する根拠はない」との姿勢を崩さなかった加藤勝信厚生労働相も、20日夜の会見では「感染がどこから発生したか分からない事例が増えているのは事実だ」と、「新局面」が現実になりつつあることを認めざるを得なかった。

 市中感染が疑われる場合、地域内にほかにも未知の感染者がいる可能性を否定できない。ウイルスに感染しても無症状や症状が軽い人も多いとされ、医療機関を受診しない感染者もいるとみられる。

 福岡市の石井部長は「特に重症化しやすい高齢者や持病を持っている人は人混みを避けるなどより気を付けてほしい」と呼び掛けた。 (黒石規之、一瀬圭司)

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