肩が痛くて腕が上がらない、つり革が握れない…

西日本新聞 オピニオン面

 肩が痛くて腕が上がらない、つり革が握れない。そんな経験があるご同輩も多かろう。いわゆる「五十肩」。中高年になると、長年使ってきた体のあちこちがきしみ始める

▼話は飛んでギリシャ神話。優れた狩人のオリオンは腕自慢が過ぎたため、女神が戒めに放ったサソリの毒で死んでしまう。哀れんだ神が星座にして天に上げてやった

▼冬の夜空、オリオン座はすぐに見つかる。目印は狩人の帯を表す三つ星。それを囲む四つの星がオリオンの体だ。右肩の位置にベテルギウスが赤く、左足にはリゲルが白く輝く

▼狩人を象徴するように、オリオン座は右手でこん棒を高く掲げた姿。そのこん棒が持てなくなるのでは、と天文ファンがざわついている。右肩のベテルギウスの光が昨秋から暗くなっているのだ。約1千万年の寿命のうち9割を過ぎたとされ、寿命が尽きて超新星爆発を起こすのではないかとの声がネットに広がった

▼爆発すれば月ほど明るくなった後、見えなくなるとか。もっとも専門家の意見は「寿命といっても明日かもしれないし、数万年後かもしれない」。世紀の天体ショーをこの目で見てみたいが、悠久の宇宙には人の一生など瞬く間か

▼もしベテルギウスを失って星座の形が変わったら、別の名前になるのかな。そう思いながら見上げた凍(い)て風の夜。「900万年肩」で腕を上げるのがつらそうに見えるオリオンに、ちょっと親近感。

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