九州で新型肺炎 重症化防ぐ対策を冷静に

西日本新聞 オピニオン面

 改めて危機感を高め、対策を強化する契機としたい。

 新型コロナウイルスの感染がきのう、九州7県では初めて福岡市で確認された。60代の日本人男性で肺炎の症状があり、直近の海外渡航歴はないという。

 国内の感染者には渡航歴のない人や、中国からの訪日客と接触のない人も目立ってきた。もはや、感染経路の特定できない「市中感染」が各地で広がっていると考えるべきだ。

 多くの観光地を抱える九州は特に警戒の必要がある。中国・武漢市では昨年末、新型ウイルスによる肺炎発症が始まっていた。中国政府が今年1月に本格的な対策に乗り出す前に多くの人が中国と日本の間を往来している。この事実は重い。

 同じコロナウイルスによる重症急性呼吸器症候群(SARS)などと比べ、新型ウイルスは致死率こそ低いが高齢者や基礎疾患がある人には危険だ。集団感染が起きたクルーズ船から下り、入院治療中だった高齢者2人もきのう亡くなった。

 今、何より大切なのは、感染した人の重症化を防ぐことである。その対策を急ぐべきだ。

 厚生労働省は大学などとも連携しながら、地方での検査体制強化に取り組んでいる。専門外来の増設や治療法の開発にも力を入れるが、感染の広がりや発症者の増加は予測できない。状況の変化に対応し、先手先手で検査と医療の体制拡充を進めることを求めたい。

 厚労省は、37・5度以上の発熱が4日以上続く人や強いだるさ、息苦しさがある人に、保健所などに設けられた「帰国者・接触者相談センター」への相談を呼び掛けている。

 そこで感染の疑いありと判断されれば専門外来を受診する。その際はマスクを着け、公共交通機関の利用を避ける必要がある。感染を広げないためだ。私たちも市民として可能な協力は惜しまぬようにしたい。

 市民が暮らしの中で行うべき対策は他にもある。入念な手洗いや、せきやくしゃみの際にハンカチなどで口元を覆う「咳(せき)エチケット」を徹底するといった「ウイルスに感染しない・感染させない」行動は忘れないようにするべきだろう。

 他方、感染防止対策で観光業を中心に経済にも深刻な影響が出ている。多くのイベントが中止や規模の縮小に追い込まれている。市中感染の拡大が否定できない以上、やむを得ない面もある。正確な情報の入手を心掛け、冷静に対応したい。

 まだまだ先の見えない闘いである。医療と行政、企業、全ての市民が力を合わせ、新型ウイルスの流行に歯止めをかけることを目指す局面である。

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