韓国客頼みの経済どうする? 対馬市長選、23日告示

西日本新聞 長崎・佐世保版 平江 望

 長崎県対馬市長選が23日に告示される。日韓関係の悪化で韓国人観光客が激減し、地元経済の韓国客頼みが浮き彫りになる中、立候補者が示す地域振興策が争点の一つとなりそうだ。選挙戦を控え、対馬が直面する現状を探った。

観光低迷、地域振興策争点に

 「韓国客が来なくなる事態がいずれ起きるかもしれないと、ずっと前から心配していた」。同市厳原町で民泊業を営む権藤悦教(よしのり)さん(69)は、以前と比べて人通りが激減した市街地を見てあきらめ顔で語った。

 国境離島の対馬。島北部と韓国の距離は約50キロで、高速船に乗れば1時間あまり。その手軽さもあり、対馬への韓国客は年々増加。2018年は島の人口3万人の10倍以上となる過去最高の41万人に上ったが、両国の政治対立で客足は一変。昨年10月は2807人で前年同月比92・1%減となり、現在も高速船のターミナルは閑散とする。

 心配されるのが経済的な打撃だ。市が試算する韓国客の島内消費額は19年は約58億円(推計)で前年の91億円から33億円も減った。長崎労働局によると、島内で宿泊や飲食、交通に携わる56人が韓国客減の影響で同7~9月に解雇され、地元雇用にも影を落とす。

 県と市が国内客を呼び込むため同11月から実施する宿泊代を3千円割引するキャンペーンは期限が迫り、市が追加対策として行う観光クーポン券の販売も今年4月末で終わる。権藤さんは「国内客だけでなく、台湾やタイなどからも呼び込まないと同じことを繰り返す」と警戒する。

 市によると、年明けの1月に対馬を訪れた韓国客は6548人。昨年末と比べて「少し持ち直した」(同市上対馬町の飲食店従業員)との声もあるが、順調に回復するか見通せない。

 4年前、福岡市からUターンした厳原町の主婦は、これまでの対馬を「韓国客頼みのバブル(景気)だった」と話す。今後は「(基幹産業の)漁業、林業の強化はもちろん、加工、販売も行う6次産業化に力を入れるなど所得向上が必要。子育てしやすい環境も整えるべきだ」と指摘し、観光以外の産業振興を期待する。

 これまで市長選に立候補表明したのは2氏。西日本新聞の取材に、新たな地域振興策について、現職の比田勝尚喜氏(65)は「魅力ある1次産業を推進して後継者を育成する。観光基盤も充実させ、持続可能な島づくりを目指す」と述べ、飲食店経営の新人、荒巻靖彦氏(55)は「放射性廃棄物の地層処理施設を誘致し、国の電源3法交付金により観光頼みの経済から脱却を目指す」と話す。

   ◇    ◇

 同じく23日に告示される欠員に伴う市議補選(被選挙数1)には、いずれも元職の3氏が出馬の意向を示している。

 市長選、市議補選ともに立候補の届け出は同日午前8時半~午後5時、市役所厳原庁舎別館で受け付ける。投票は3月1日午前7時~午後6時、市内103カ所で。開票は同日午後8時半から、同市峰町のシャインドームみねで行われる。有権者数は2万5937人(昨年12月1日現在、市選管調べ)。 (平江望)

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