【ギラつくイレブン J2での挑戦】(中) 体力強化し連携磨く

西日本新聞 北九州版 岩佐 遼介

 「もっと速く、速く」

 ヘッドコーチ天野賢一の声が響く。20メートル四方のグラウンドで選手は4人ずつの3チームに分かれ、ボールをツータッチまでに回して奪い合うゲームをしていた。

 ポジショニングやパスの出し方と受け方、その際の体の向きなどを細かく確認する。今季J2で戦うチームが最大のテーマと位置づけるのは連携の強化と判断力の錬磨だ。連動して動くための練習を沖縄キャンプのメニューにも頻繁に取り入れていた。

 沖縄キャンプ5日目の5日にはJ1川崎とのトレーニングマッチで45分の試合を3本行った。日本代表を擁する国内屈指の強豪クラブに終始ボールを保持され、苦戦を強いられた。

 一矢報いたのは2本目の中盤。ボランチがセンターサークル付近でボールを奪うと、チーム全体に攻撃のスイッチが入った。左サイドを駆け上がったDF新井博人(23)にパスが通り、ゴール前にクロスを上げる。最後はダイレクトでMF加藤弘堅(30)がゴールに流し込んだ。

 1対5で敗戦はしたが、監督小林伸二(59)は「グループで守れたからこそ生まれた得点だ。グループでサッカーをする意識をもっと根付かせたい」と評価する。

   ◇    ◇

 最下位に終わったチームの監督に昨季、就任した小林が真っ先に着手したのは体力強化だった。

 心拍数を目安に、けがをしないぎりぎりの負荷を掛けたトレーニングを選手に課した。豊富な運動量を武器にリーグ最少失点の堅守でJ3優勝を飾った。

 1月20日から10日間に及んだ長崎県島原市でのキャンプでは選手たちは計100キロ以上を走り、筋力強化にも取り組んだ。昨季よりも厳しいトレーニングをしたが、大きなけがをした選手はいない。

 フィジカルコーチ村岡誠が手応えを感じる数値がある。

 Jリーグでは1試合当たりの選手の平均走行距離は10~11キロとされる。沖縄キャンプでのJ1との3試合で、北九州の選手が衛星利用測位システム(GPS)端末を装着し、計測した結果は平均11・5キロに上った。村岡は「すこぶる順調だ」と強調する。

 フィジカルの強さを土台としつつ、チーム全体で連携の精度を高めるのが今季の基本戦略だ。

 ただJ1の3チームとの試合では攻撃を仕掛けている間に生まれた背後のスペースを狙われ、カウンターから失点を重ねた。3試合の失点は計20点。J2とはレベルが違うとはいえ、課題が浮き彫りになった。

 昨季までJ2東京ヴェルディでプレーしたDF永田拓也(29)は「J2ではスピードのある外国人選手に背後のスペースを狙われることが必ずある」と強調する。危機にいち早く気付き、複数で守る組織力をどれだけ高められるか。若いチームの伸び代に期待したい。 (敬称略)

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