諫早干拓、開門巡り平行線 福岡高裁で差し戻し審開始

西日本新聞 社会面 金沢 皓介 鶴 善行

国と漁業者、和解の道は

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)を巡り、国が漁業者側に潮受け堤防排水門の開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟の差し戻し控訴審第1回口頭弁論が21日、福岡高裁(岩木宰裁判長)であった。国側は漁獲量が増加傾向にあるとして、改めて開門を命じた2010年12月の確定判決の無効化を主張。漁業者側は和解による解決を求めた。

 弁論で国側は諫早湾周辺の漁獲量が増加傾向にあり、堤防閉め切りと漁業被害の因果関係を認めた確定判決から「事情の変化」が生じていると主張。確定判決後に「非開門」の司法判断が相次いだ点も踏まえ、「開門の強制執行は権利乱用に当たる」とも述べた。

 漁業者側は「国が確定判決に従わず、9年もの年月が経過した。権利乱用とは信じられない理屈だ」と反発。意見陳述した佐賀県太良町の漁業平方宣清さん(67)は「堤防閉め切りで宝の海は一変した。国は何を見て漁業が回復傾向にあるというのか」と憤った。

 請求異議訴訟は、開門を命じた10年の確定判決が無効だとして国が起こした。最高裁が昨年9月、確定判決を無効化した福岡高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻していた。昨年6月には別訴訟で「非開門」の判断が最高裁で確定。一連の法廷闘争は訴訟が乱立し混迷を深めており、高裁が和解を促す可能性もある。

 漁業者側は前提条件を付けない協議を求めるのに対し、国側は「非開門を前提とした基金による和解を目指す」との姿勢を崩していない。双方がどのような和解の道を探るのかも注目される。(鶴善行)

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