やまぬ感染、特効薬なく 武漢封鎖1カ月 血漿投与にすがる家族

西日本新聞 総合面 川原田 健雄

 【北京・川原田健雄】新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の発生地、中国湖北省武漢市が封鎖されて23日で1カ月。市内では今も新たな感染者が相次ぎ、医療態勢が追い付いていない。確立された治療法がない中、インターネット上では治療効果があるとされる元患者の血漿(けっしょう)を求める投稿が続出。重症患者の家族は電話取材に「効くかどうか分からないけど他に方法がない」と訴えた。

 武漢市の王さん(38)宅では10日以降、80代の祖父母と母(63)が相次いで発症。王さんと息子(14)もホテルに隔離された。今月に入り一家は外出を控えていたといい、王さんは「高齢の祖父母はマスクをする習慣がない。ごみ出しの時に近所の人からうつされたんだと思う」と推測する。

 重症の祖父母は入院できたが、症状の軽い母は体育館にベッドを並べた仮設病院に入れられた。「数百人も患者がいるのにトイレは一つだけ。母はもともと肺がんを患っていたので仮設病院で大丈夫か心配だ」と王さんは不安を募らせる。

 中国政府は19日に発表した新型肺炎の診療方針で、重篤な患者に元患者の血漿を投与するよう促した。中国メディアによると、回復期の患者の血漿に含まれる大量の抗体に治療効果があるとされ、重体患者に試験的に投与したところ効果が見られたという。これを受け、短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」には、重症患者の家族から血漿提供を呼び掛ける投稿が相次いだ。

 武漢市に住む女性(30)は重体の母親(56)のため、血液型が同じO型の元患者に協力を求めている。「できる治療は全てやった。血漿治療に効果があるかは分からないけど、できることなら今すぐ受けさせてあげたい」と電話取材に語った。母は20日から病院の集中治療室(ICU)に入ったまま。「今はそばに付き添うことさえできない。会いたくてたまらない」と声を詰まらせた。

 武漢市在住の龍さんは、新型肺炎に感染した父親(63)が2度危篤になり、医師から「もう血漿治療しかない」と告げられた。微博上で血漿提供を呼び掛け、いちるの望みを託してきたが、21日の電話取材に「父は今朝亡くなった」と力なく語った。

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