「ディパーチャーズ」に感動しました…

西日本新聞 オピニオン面

 「ディパーチャーズ」に感動しました-。7年前、安楽死の取材で訪れたオランダ。女性研究者に話を振られて戸惑った

▼拙い英語で会話を続けると「死者への敬意」とか言っているふうだ。そこで言葉の断片がつながった。ディパーチャーズ(旅立ち)は日本映画「おくりびと」の海外版の題名だった

▼この映画が米アカデミー賞を受賞したのは2009年の今日。元チェロ奏者の男性が「旅のお手伝い」と記された求人広告を勘違いし、死者を送る納棺師になる物語だ。娯楽映画にはなじみにくいテーマにほれこみ、作品化に奔走したのが元アイドルの本木雅弘さん。存在感ある役者ぶりは今、大河ドラマで楽しめる

▼それから11年ぶりにアジア映画にスポットが。格差社会を描いた韓国映画「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞4冠に輝いた。貧しい家族がセレブの家庭に「寄生」する物語だ

▼ポン・ジュノ監督の受賞の弁が秀逸だった。「この言葉を胸に映画を学びました」と、巨匠マーティン・スコセッシ監督の言葉を引用した。<最も個人的なことが最も創造的なこと>。会場の大喝采がポン監督も巨匠への階段を上り始めたことを暗示した

▼人生の終わり方と見送り方。富の偏在が生み出す格差。世界は多くの問題に満ちている。本木さんやポン監督のように個人的な問題意識を抱くアジア人が、これからも世界的な映画を生み出すはずだ。

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