【ギラつくイレブン J2での挑戦】(下) ぶれない姿勢は小林流

西日本新聞 北九州版 岩佐 遼介

 開幕戦の「福岡ダービー」を約2週間後に控えた11日、チームは門司区の甲宗八幡神社で恒例の必勝祈願に臨んだ。

 この場で監督小林伸二(59)はMF川上竜(25)を呼び、こう伝えた。

 「キャンプから行動をずっと見てきた。主将としてチームを引っ張ってくれ」

 北九州に移籍1年目の一昨季、川上は主将を任され、チームは最下位に終わった。昨季は副主将に“降格”となり、モチベーションが低下してもおかしくはなかった。

 だが、川上は負けた試合の後でも腐らず、練習では常に選手の先頭を走った。

 評価されたのは「ぶれない姿勢」。小林が好んで使う言葉だ。J2での厳しい戦いを乗り切る時、苦境にひるまず、ひたむきな姿勢は強みになると判断した。

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 2月上旬、沖縄キャンプを訪れて驚いたことがある。

 川崎などJ1の3チームにトレーニングマッチで敗れた要因と課題を10人近くの選手に尋ねたが、判で押したように、こう答えた。

 「攻め込んだ時に生まれる背後のスペースのリスク管理が重要だ」

 チームが目指す方向性が選手たちに浸透していると実感した。

 昨季、強化や育成なども担う「全権監督」に就任した小林はJリーグの5クラブで16年間の指導歴がある。このうち4チームをJ1に導いた。昇格まであと一歩に迫ったチームが多く、前監督が築いた土台を継承しながら強化に取り組んできた。

 だが前季最下位の北九州は違った。選手は最低限の体力もなく、選手の考え方はばらばら。チームをゼロから組み立てなければならなかった。「昇格請負人」と呼ばれることをプレッシャーに感じた。

 小林は攻守の切り替えが速い組織的なサッカーを目指した。それをきめ細やかな指導で伝えた。

 ミーティングでは自ら編集した試合動画を見せながら失点シーンを分析し、どう改善すればいいのかを説明する。スタメンを外す選手には何が不足しているのかを明確に伝えた。戦術だけでなく、試合に負けた時の心の持ち方やオフの過ごし方まで話は広がる。熱が入ると、1人で50分近く話し続けたこともあるという。

 選手が理念や戦術を共有できていなければ「ぶれないサッカー」はできない。だからこそコミュニケーションを重視した。

 昨季、選手が過度なプレッシャーを感じないように目標は「6位以上」と控えめに設定した。開幕4連勝したこともあり、順位は常に目標を上回った。それが選手たちの自信を呼び覚まし、最終盤にかけて勢いを増した。DF野口航(24)は「取り組むべきことがはっきりしたので、やりやすかった」と振り返る。

 J2は個人の力が強く、長いシーズンには浮き沈みがつきものだ。小林は言う。「勝とうが負けようが、どんな時も継続する。それが結果を出す1番の近道だ」 (敬称略)

 =おわり

 (岩佐遼介が担当しました)

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