新型肺炎「感染は拡大期、弱者の治療に重点を」 斎藤・新潟大教授

西日本新聞 社会面 長谷川 彰

 新型コロナウイルス感染者が国内各地で確認される中、新潟大大学院の斎藤玲子教授(公衆衛生学、ウイルス学)が22日、神戸市で開かれた日本災害医学会で特別講演。報道各社の取材にも応じ「国内は感染拡大期に入った。今後、軽症で済む層はインフルエンザと同様に自宅で回復を待ち、入院治療は重症化の恐れが強い層に重点を置くことが大切だ」と指摘した。発言の要旨は次の通り。 (聞き手は編集委員・長谷川彰)

 感染経路をたどれないケースが全国で報告されており、市中感染が広がり、国内は拡大期に入ったと言える。感染がまだ確認されていない県でも既に潜在している恐れは否定できない。

 感染力が強いほど毒性は低くなるのがウイルスの特性だ。新型コロナウイルスの感染力は現時点では、季節性インフルエンザと同等で致死率は0・8%程度。2009年に国内で流行した新型インフルエンザよりは1桁高いが、重症急性呼吸器症候群(SARS)の10%、中東呼吸器症候群(MERS)の35%と比べると明らかに低い。中国でもダイヤモンド・プリンセス号でも、発症者の8~9割は軽症だったのも事実だ。

 むしろ心配なのは病院の態勢の問題。ふだんは健康で感染しても軽症で済む人が、発熱したからと外来に殺到すると、最も治療が必要な人の受診機会を奪う結果になりかねない。医療スタッフの感染リスクも高まり、院内感染が広がれば医療崩壊を招いてしまう。

 熱が出たりせきが出始めたりした人に、まず保健所の帰国者・接触者相談センターで相談を受けてもらうのは、状態を見極め、健康面で弱い人を優先治療するためのトリアージが行われていると考えればいい。

 不安になるのは当然だがインフルでも大半は3~4日の療養で回復する。自宅待機で家族や周囲にうつさないよう努め、熱やせきが長引くようなら保健所に電話をするという行動が、結果的に、みんなが安心できる状況づくりにつながる。

 残念だが、新型コロナウイルス感染の迅速診断キットはなく、ウイルスを検出するPCR検査ができる機関も限られている。会社を休むのに診断書提出を求めると、混乱に拍車を掛けることになるので配慮をお願いしたい。 (談)

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