アムラー、森ガール…「天神コア」で振り返る44年のファッション史

西日本新聞 ふくおか都市圏版 布谷 真基

 福岡を中心に九州の若い女性に影響を与え、流行発信の場であり続けた福岡市・天神の商業施設「天神コア」が3月末に閉店する。1976年の開店からさまざまなトレンドを捉え、店舗構成も変化してきた。館内では、44年間を彩ってきたファッションの再現写真を展示する企画展が開かれている。これまでの世相とともにファッションの変遷を振り返る。

3月末で閉店

 天神コアは東京の新宿や原宿のセンスを福岡に持ってくることをテーマに掲げ、当初97店が開店。当時は60年代後半のヒッピーブームから広がった民族風のエスニックスタイルが浸透。肩から掛けるショルダーバッグはこの頃から普及したとされる。

 ソニー「ウォークマン」発売(79年)、松田聖子さんのデビューや山口百恵さん引退(80年)などを経て、デザイナーの川久保玲さんによる「コム・デ・ギャルソン」や山本耀司さんの「ワイズ」は、鮮やかな色調を覆す“黒の衝撃”と呼ばれ、82年ごろにDCブランドで黒一色にまとめる「カラス族」が現れた。

 開業時の天神コアの品ぞろえは輸入物や、複数ブランドを集めた店舗が中心の「インポート/セレクトショップ期」にあった。

 83年には姪浜-博多駅間で地下鉄が開業し、国鉄筑肥線との相互乗り入れを開始。急速な経済成長を背景に86年ごろから台頭したのは、体のラインを強調する「ボディコン」。髪形はいわゆるワンレンのロングヘアが流行し、世の中はバブル経済に沸いていく。

 90年代から絶頂を極めた歌手、安室奈美恵さんをまねる「アムラー」が社会現象になったのは96年のこと。10代女性がトレンドを引っ張り、ミニスカート、厚底ブーツ、ロングの茶髪で日焼けした肌と細い眉が定着した。

 90年代半ばから天神コアも「ギャル期」へと転換。2000年にはギャルブランドとして人気を集めた「CECIL McBEE」の福岡1号店が開店した。

 その頃、歌手の浜崎あゆみさんの活躍で日焼け肌から美白志向へとシフト。雑誌「CanCam」専属モデルだった蛯原友里さん、押切もえさんらの影響で、トレンドはギャル系から清楚(せいそ)で愛らしいスタイルに変化。03年ごろにはお嬢さまルックの「モテ系」というジャンルが根付いた。

 ファッション誌だけでなくインターネット発の流行も。会員制交流サイト(SNS)の元祖とされる「mixi」から巻き起こったゆるふわ系の「森ガール」(06年)は、森の中にいそうな女の子というコンセプトで、レースのカーディガンやゆったりとしたワンピースなどの着こなしが誕生した。

 スウェーデン発祥の「H&M」など、ファストファッションが台頭し、流行も目まぐるしく変化。天神コアも現在の「ヤングカジュアル期」に入り、着るものも多様化していった。

 10年代に入ると「Kポップ」をはじめとした韓国系のカルチャーの人気が広まった。化粧品、スイーツなども幅広い影響を受け、18年ごろにはゆったりとしたトップスに、細身のボトムスを合わせるなど、韓国らしさを求める「オルチャンファッション」の着こなしが若い世代に広がった。

 天神コアの閉館まで1カ月余り。2020年以降は、どのような流行が街を彩るのだろうか。

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 企画展「コア44年の思い出プレイバック」は天神コア4階パティオで3月末まで開催。福岡市・大名の美容室「スイッチ」が、1年ごとのトレンドを再現したスナップ写真を展示する。年表もあり、日本のニュースや福岡の街の話題とともに各時代のファッション、流行の背景を解説している。 (布谷真基)

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