面接の試験時は寛容な姿勢で 菊池良和(九州大病院・吃音外来医師)

西日本新聞 医療面

連載:吃音~きつおん~リアル(15)

 「面接試験が怖い」。大学受験で推薦入試を勧められた高校3年の男子生徒の言葉です。確かに、普段でも言葉を発するのに数秒かかることがあり、緊張を強いられる面接では症状がひどくなって過小評価されてしまうのではないか。両親も心配していました。

 相談を受けた私は、吃音(きつおん)が障害者差別解消法(2016年施行)の対象疾患であり、面接試験の前に伝えれば配慮を受けられることを説明しました。診断書に「流ちょうに話せる時もあるが、最初の言葉を発するのに数秒かかる『難発性の吃音』がある」と明記。その上で「入退室時のあいさつ、自己紹介などで流ちょうに話せなくても、時間的余裕の確保と聞き手の寛容な姿勢をお願いします」と書いて、願書に同封してもらいました。

 大学からは「配慮します」と返事がありました。男子生徒は安心して面接に臨むことができ、無事合格。大学では吃音があることをカミングアウトし、友達にも恵まれて頑張っているようです。

 障害者差別解消法は、国や自治体などに対し、障害者に健常者と同等の権利を保障する「合理的配慮」の提供を義務づけています。面接試験に臨む生徒に、滑らかに話せるよう指導するのではなく、事前に志望校に申し出れば配慮を受けられることを伝え、不安を軽くしてあげる方が効果があります。

 九州では佐賀、長崎、宮崎などの県立高校で受験生全員に面接試験を課しています。直前になって相談されることがありますが、事前の情報収集が大切です。

 吃音のある生徒は流ちょうに話せるかということにこだわり、不安や恐怖を抱いてしまいます。面接する側が「言葉に詰まってもいいんだよ」という寛容な姿勢を見せてくれれば、彼らは志望校で学びたいことをきちんと伝えられるはずです。

 (九州大病院医師)

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