外国人労働者305人 特定技能、4割「知らない」全国12地方紙調査

西日本新聞 一面 金沢 皓介 山下 真 吉田 真紀 古川 努

 外国人労働者の就労を大幅に拡大する改正入管難民法の施行から4月で1年となるのを前に、西日本新聞など全国12の地方紙は、外国人労働者300人超の声を集める協働調査を実施した。その結果、改正の目玉として新設された新在留資格特定技能」について、4割が「知らない」と回答。特定技能に必要なビザの取得を望む人も43%にとどまり、制度の周知や準備不足の実態が浮かび上がった。

改正入管難民法1年 政府見込みと差

 調査は、本紙「あなたの特命取材班」をはじめ、無料通信アプリLINE(ライン)などで読者とつながり課題解決を目指す調査報道で連携する北海道新聞▽岩手日報▽東京新聞▽新潟日報▽信濃毎日新聞▽岐阜新聞▽中日新聞東海本社▽京都新聞▽中国新聞▽徳島新聞▽琉球新報-と企画。共通のアンケート用紙で昨年12月~今年2月、おおむね来日5年以内の技能実習生や留学生ら32カ国・地域の305人から回答を得た。

 特定技能は、人手不足の介護や農業など14業種が対象。生活に支障のない日本語能力があり、省庁指定の試験を経て取得するほか、技能実習生からの移行も含め、政府は初年度だけで最大4万7千人の受け入れを見込んでいた。実際は昨年末現在で1621人と伸び悩み、協働調査でも制度の存在そのものを知らない人が41%に上った。

 一方、現在の賃金に納得している人は62%。職場環境には85%が「満足」と答えた。

 生活実態も尋ねた。ほとんどが「日本が好き」「日本に来てよかった」と答える一方、33%が「親しい日本人はいない」。困っていることは、(1)言葉が通じない(2)物価が高い(3)文化や習慣が違う(4)趣味や遊びの時間・場所がない(5)医療・法律・税金-の順だった。

 生活に必要な手助けは、(1)日本語の勉強(2)日本人と仲良くなる行事(3)分かりやすい日本語ニュース(4)災害時の多言語情報(5)日本人の相談相手-など。必要な情報としては「普段の生活のルール」も多数挙がった。騒音やごみ出しを巡る住民とのトラブルが全国各地で報告される中、外国人側も地域のルールを知りたがっている傾向がうかがえた。

 永住希望はほぼ半数。日本に家族を連れてきたい人も約6割いた。

 外国人政策に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの加藤真研究員は「特定技能の制度を、もっと分かりやすい形に改善する必要がある」と指摘。「今回の調査から、多くの人が日本語習得に最も課題を抱え、支援を必要としている実態が分かった。日本語習得を本人や受け入れ企業だけの責任とせず、国や地域全体で対応していくべきだ」と話した。 (吉田真紀、山下真、金沢皓介、古川努)

最多更新165万人

 厚生労働省によると、外国人労働者数は2019年10月末時点で、165万8804人で、07年に届け出が義務化されて以降、過去最多を更新した。人口に占める割合が最も多い都道府県は東京で、愛知、群馬、岐阜、静岡の順。14年10月末時点は78万7627人だったので、5年間で2.11倍に増えたことになる。19年と比較し最も増加率が大きいのは沖縄(3.04倍)で、福島(2.82倍)、熊本(2.80倍)、青森(2.74倍)、宮崎(2.67倍)、福岡(2.65倍)と続き、東北、九州の伸びが目立つ。

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