老舗時計店「古里」に別れ 天神コア3月閉店、別のビルへ移転

西日本新聞 ふくおか都市圏版 手嶋 秀剛

 福岡市・天神の再開発事業「天神ビッグバン」に伴い、商業ビル「天神コア」が3月末で44年の歴史を閉じる。地下1階の岩田時計店は、かつて天神コアの場所にあった、西鉄商店街(西鉄街)の頃から続く老舗。3代目店主の岩田哲夫さん(56)は、ゆかりの地との別れに寂しさを募らせている。

 「再開発を正式に知ったのは一昨年1月。店じまいするには慌ただしく、今でも名残惜しい」。閉店セールのポスターを掲げた店で岩田さんは打ち明けた。

 時計店は岩田さんの祖父故美佐吉さんが1930年、久留米市で創業した。戦時中に休業したが、父の故信夫さんが53年、戦災復興事業で建った西鉄街に店を構え新たに開業した。

 「店の2階にある住居で小学3年生まで暮らしました」と岩田さん。近所には帽子店、文具店、靴店…。少年時代の西鉄街の記憶は鮮明で、天神コアの地に古里への愛着を感じる。

 76年、西鉄街の跡地に建った天神コアに時計店も入った。当時から今日まで、若者たちの流行を発信してきた天神コア。トレンドに伴ってテナントが入れ替わる中、岩田さんは、国内でライセンス生産される有名ブランドの腕時計などをそろえ、店を維持してきた。なじみ客たち約20人と集う親睦会もつくった。

 天神コアの閉店が決まって以降、客から時計店の存続を望む声が相次いだ。西鉄街時代を含めて67年間店を構えた「天神」からは去りがたく、4月下旬から、渡辺通りを挟んで斜め向かいのソラリアステージで営業することにした。「核テナントも店舗構成も決まっていない再開発ビルに、戻れるかどうかは分からないけれど」。今年、創業90年を迎えた時計店主は天神で店を続けながら、ビッグバンの行方を見守ろうと決めている。 (手嶋秀剛)

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