「そこまでやる?と思われるかも」ごみ38.5%まで減少 福岡・大木町

西日本新聞 くらし面

 バイオガスプラント「おおき循環センター・くるるん」を核に、台所から出る生ごみの分別を通して食と農をつなぐ福岡県大木町。その循環の輪を回す原動力になっているのが「教育の力」だ。

 町立大莞(おおい)小4年の松永心雪(こゆき)さん(10)は昨年6月から1カ月間、自宅から出る可燃ごみとプラスチックごみの量を計る「ごみゼロチャレンジプログラム」に取り組んだ。

 毎年5月末に環境課職員が町内に三つある小学校に出向き、4年生の授業でごみ処理の考え方や仕組みを教える。町の優れた取り組みを素直に受け止めた児童の熱が冷めないうちに、家庭で実践するのがプログラムの狙いだ。

 その結果、5人家族の松永家のごみ排出量は、可燃ごみ6・8キロ(35リットル袋で4袋)、プラごみ4キロ(50リットル袋で4袋)だった。

 生ごみバケツとは別に、台所に可燃ごみ用の赤箱とプラごみ用の黒箱を置いて分別した松永家。包装に「プラ」マークがあればプラごみとして回収し、ラップは可燃ごみとする町のルールを学び、すっかり“分別博士”になった心雪さんは「『これは赤? それとも黒?』と聞いてくる弟やおばあちゃんに教えてあげた」と笑顔を見せた。

 「家族全員が商品の過剰包装などを気にするようになり、大人の方が学ばせてもらったようです」と話す母の慶子さん(42)は「食品も以前より計画的に買うようになって、ロスが減りました」と言う。

   ◇   ◇

 対象を4年生にしたのは社会科授業で、ごみ問題を学ぶから。ただ、町で採用する教科書には、町が取り組む生ごみを資源として生かすような施策に関する記述はなかった。そこでくるるん稼働から2年後の2008年、町独自の取り組みを解説した副読本を作成、活用することにした。

 とはいえ、児童がごみ分別の意義を学んでも、親が無関心なら単なる知識の習得で終わりかねない。学校での学びが家庭にうまく伝われば、家族全体の意識を自然と高められる。

 そこで15年に始めたのが同プログラム。取り組んだ児童(世帯)は、5年間で町の全世帯数の6分の1に当たる765人に達した。

 効果は歴然だ。町の1人当たりの可燃ごみ排出量は全国平均の約4割。画期的な数値だが、プログラムに参加した家庭は、さらにその4割にまで減っている。

 「これを10年、20年と続ければ、分別が当たり前になった子らが親になり、またその子らに伝えていく。夢があるでしょ」と、益田富啓副町長(53)は語る。

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