認知症治療に効果も、芸術を医療に 福岡市・九産大でシンポ

 医師の処方は、薬ではなく「博物館」? 地域医療に博物館や美術館が果たす役割について、海外事例を基に考えるシンポジウムが26日、九州産業大(福岡市東区)であった。認知症患者や高齢者が日常的に芸術に触れることで、暮らしの質の向上につなげる取り組みが現在、各国で進められている。実証に取り組む英国、米国の研究者が講演し、よりよい医療連携について話し合った。

 高齢化が進む中、地域でできるだけ長く暮らし続けるための医療の在り方として、芸術との連携が注目されつつある-。

 ロンドンの美術館「ダリッチ・ピクチャー・ギャラリー」で、地域の高齢者に芸術参加を促す活動に取り組むジェーン・フィンドレーさんは、2年前から医療機関と連携し、治療方針の選択肢の一つとして美術館を紹介してもらっている事例を紹介。「美術館と医療の両方のスタッフが、互いの枠を超えて理解し合い、参画する意識が必要」と課題を話した。

 ニューヨークのメトロポリタン美術館で博物館教育に取り組むキャロリン・ハルピン・ヒーリーさんは、芸術を通じて認知症患者の生活の質を向上する非営利団体を設立した。患者と介護者がペアで参加し、展示品の鑑賞や作品制作のワークショップなどを体験する。芸術に触れる機会を続けることで、患者の無気力状態の解消や、介護者のストレス軽減などの効果が見えてきたという。ヒーリーさんは「医学生にもプログラムに参加してもらい、『認知症には手だてがある』ことを学んでもらう。実証を長期的に続け、芸術には認知症の進行を遅らせる効果があるという結果を出したい」と話した。

 会場には学芸員や博物館関係者のほか、病院や介護に携わる人たちも多く参加し、熱心に話に聞き入っていた。(今井知可子)

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