全希望者にできないの?PCR検査 行政に聞いてみると…

西日本新聞 総合面 本田 彩子

 「希望者全員が受けることはできないのか」「毎日何件の検査が実施されているの」-。新型コロナウイルスを検出するPCR検査について、発熱やせきの症状が続いても検査してもらえないケースがあるとして、不安や不満の声が上がっている。

 九州各県の担当課は「検査ができる機関、機材は限られており、希望者全員の検査はできない」。医師は「全員を検査する必要はない」と話す。

 現状では、PCR検査は新型コロナウイルスを検出できる唯一の検査方法。実施できるのは各地の地方衛生研究所などで、九州には各県に1~3カ所ある。

 研究所でウイルスを抽出、解析する作業には数時間を要し、結果判明までには1~2日かかる。九州各県によると、1機関で実施できる検査の上限は1日当たり20~160件。これまでの検査の累計件数は18~92件(鹿児島県は非公表)で、現時点では九州の検査態勢には余裕がある。

 厚生労働省は今月中旬、検査の対象を拡大し、流行地域にいた人との接触などに限らず「発熱と呼吸器症状があり、入院が必要な肺炎が疑われる場合」「医師の総合的判断で感染の疑いがある患者」も含めた。九州では熊本市で最初に感染が確認された20代の女性が、せきや高熱が続く中、二つの医療機関で検査に至らずに症状が悪化し、三つ目の医療機関で初めて検体が採取されており、基準の厳しさや曖昧さを指摘する声も上がっている。

 福岡県の担当課は「県医師会などの会議で、検査基準などについては情報を共有している」。熊本県の担当課は「重症者など、本当に必要な方の検査を迅速、確実に行うために、対象の絞り込みは必要」と理解を求める。

 感染症が専門の北九州市の山口征啓(ゆきひろ)医師は「そもそもPCR検査はコロナウイルスへの感染が強く疑われる人の確定診断のための検査。性能の問題で、陰性が出ても感染している可能性もあり、不安を取り除くために実施するものではない」と話す。また、早く診断が出ても予後に変化はなく、重症化させないための治療も現在はないという。福岡県内の別の医師は「早く見つけて周囲への感染を防ぐことは大切だが、希望者全員に検査をする必要はない。医師が症状を見て適切に判断している」と話している。 (本田彩子)

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