73歳の高校生、あこがれの卒業式へ 広川町の岩屋博子さん

西日本新聞 筑後版 丹村 智子

若者たちと一緒に体育も

 福岡県広川町の岩屋博子さん(73)が3月1日、八女市の福島高定時制を卒業する。一度は諦めた高校進学だったが、70歳を前に一念発起。20歳前後の若者らと机を並べた4年間を「学ぶ喜びを感じ、活字に触れることで別の世界を見ることができた」と振り返る。卒業式では3人の卒業生を代表して答辞を読む。

 岩屋さんは広川町生まれ。幼少期を八女市で過ごし、8歳で再び広川町へ。広川中を卒業すると久留米市の月星ゴム(現ムーンスター)に勤めた。働き始めて数年後、定時制高校に通う人がいるのを見て岩屋さんも行きたいと思ったが「線が細くて体力がないから無理」と父親に反対され、断念した。

 21歳で結婚すると、夫婦で自転車販売業を営み、バイク販売、トラックも扱う自動車整備業にと、時代の変化とともに事業を成長させてきた。自動車整備士の資格を取得。パンク修理やオイル交換は言うまでもなく、車の下に潜って、指先を真っ黒にして働いた。1男1女にも恵まれ「家に新聞はあったけれど読む間もなかった」ほど仕事や育児に追われた。

 落ち着いたのは60代になってから。面倒を見ていた孫たちが保育園に通い始めたころからだった。「少し自分の時間ができた」。そんな風に思っていた時、ラジオで定時制高校を70歳で卒業した人がいることを知り、69歳での入学に踏み切った。

 岩屋さんはほかの生徒からは「センパイ」と呼ばれ、バドミントンや卓球などの体育も一緒にした。苦手だったパソコンの操作は分からない部分をノートに書き留め、自宅で復習した。担任の塚本秀明教諭(55)は「人一倍一生懸命勉強する岩屋さんが、若い生徒たちの良い刺激になっていた」とうなずく。

 すでに最終試験をクリアしたが、間違えた部分の復習を欠かさないなど、向学心は尽きない岩屋さん。「教科書も新聞も本も、活字に触れることで、こんなことがあるのかと気付く。今からいっぱい勉強することが見えてきた」

(丹村智子)

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