「最後の一人まで」民間ボランティアの支援続く 佐賀大雨から半年

西日本新聞 社会面 梅本 邦明

 九州北部を襲った昨年8月の記録的大雨から半年が過ぎた。広範囲に浸水した佐賀県武雄市には県内外からボランティアが詰めかけたが、今では地元住民が主体となって復興と向き合う。被災直後に武雄に発足した民間ボランティア「チームおもやい」。他の被災地を経験した人たちの知恵や技術を吸収し、取り残された被災者の支援を続ける。

 「ここに長靴が置けるかしら」。武雄市の旧北方幼稚園で2月23日、自宅が浸水した女性4人が大工の手ほどきを受け、すのこや靴棚をこしらえていた。板の加工に使う電動ドライバーや金づちは熊本県西原村からの借り物だ。

 災害で使えなくなった家具の代替品を、被災者と支援者が一緒に製作する取り組みは西原村で始まったという。おもやいメンバーで建築士の満原早苗さん(39)=佐賀県白石町=が2016年の熊本地震で住宅の応急処置を行った際、この取り組みを知り、佐賀にも取り入れた。「被災者が支援を受けるのを遠慮しないように一緒に作る。生活の困り事も聞ける」

 おもやいは消防士や住職ら約10人を中心に昨年9月に発足。県内外のボランティアと被災者をつなぎ、水に漬かった家具の搬出や清掃などに当たった。

 同10月には台風19号が全国で猛威を振るい、県外のボランティアは佐賀から新たな被災地へ。自然災害が各地で相次ぐ中、ボランティアはずっと同じ場所で活動してくれるわけではない。1995年の阪神大震災を機に被災地支援を続けてきたおもやい代表の鈴木隆太さん(44)=武雄市=は、そう冷静に受け止めていた。地元主体の再建を進めるため「県外のボランティアの知識や経験を地元に落とし込みたい」と、ボランティアが佐賀にいる間にノウハウを吸収した。

 半年たった今も、床下に湿った土が残る家がある。カビを防ぐためブラシで土を落とすなど、18年の西日本豪雨被災地を支援したボランティアに教わった方法で清掃を続けている。

 おもやいの地道な活動に、若い力が加わる場面もあった。2月16日、武雄市であった被災者交流イベント。西九州大(佐賀県神埼市)2年の竹井奏颯(そうさ)さん(19)は足湯と手のケアで被災者を癒やした。17年の九州豪雨で被災した福岡県朝倉市出身。「いろんな人の支援を受けた。恩返ししたかった」。かつて被災した神戸市や大分県日田市の学生も炊き出しを担った。

 大雨の季節は再び訪れる。鈴木さんは「梅雨が近づけば、被災者の心はざわざわする。最後の一人まで復興させたい」と話す。 (梅本邦明)

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