決意繰り返すも具体策なし 「不安に答えず」与党も批判 首相会見

 新型コロナウイルスの感染リスクが列島を揺さぶる事態に、ようやくトップが国民に直接語り掛けた。安倍晋三首相は29日の記者会見で自ら感染防止対策の先頭に立つと強調し、「深く協力をお願いする」と頭を下げた。だが全国一斉休校を要請した科学的根拠や、緊急対策の具体策には触れなかった。「国民の不安や怒りに正面から答えていない」。誰もが知りたいことに答えず、国民を置き去りにした情報発信に、与党からも疑問の声が上がった。

 午後6時。官邸の会見場に現れた首相は冒頭20分、ゆっくりとした口調で話し続けた。「この1、2週間が瀬戸際」「卒業、進学前の大切な時期に学校を休みにするのは断腸の思い」。未知のウイルスへの危機感を訴え、世論の混乱と反発が広がる一斉休校に国民の理解を求めた。

 複数の政府関係者によると、首相会見は当初、全国一斉休校を要請した27日の実施も検討された。首相が会見に合わせて第2弾の緊急対策を発表することにこだわり、見送りとなったが、休校への世論の反発が予想以上に強く、この日の会見になったという。

 なぜ感染者が出ていない地域も一斉休校する必要があるのか。もし感染が拡大した場合、経済活動でどんな制約を想定しているのか―。後手に回った会見で、首相がこうした国民の関心事を説明する場面はなかった。「私の責任で万全の対応を取る」「結果責任から逃れるつもりは毛頭ない」。国民を置き去りにしたまま、繰り返し自身のリーダーシップと危機突破の決意をアピールした。

 急ごしらえの会見はほころびも目立った。首相は「常に最悪の事態を想定し、あらかじめ備えることが重要」と強調したが、緊急対策の第2弾は取りまとめに10日程度かかると釈明。事態が想定できていない実態をさらした。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」対応への反省点も問われたが、「教訓を未来に生かしたい」とあからさまにはぐらかし、国際的に苦境を印象付けた。

 会見は場当たり的な印象が否めず、与党の評価も厳しい。公明党の斉藤鉄夫幹事長は「首相が率直に国民に協力を求めた点は評価したい」と持ち上げてみせたが、自民党の閣僚経験者は取材に「ウイルス感染の今後の予測といった国民の知りたいことに答えていない。効果のある会見だったかは微妙だ」。

 野党は首相の守勢を見透かしている。立憲民主党の逢坂誠二政調会長は「後手後手と言われていたのを挽回するためだけの会見だ」。共産党の小池晃書記局長は「必要なのは言葉だけの決意ではなく、裏付けがある具体的な支援策だが、それがなかった」と切り捨てた。 (東京支社取材班)

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