地域課題知り未来考える 立花祐平氏

西日本新聞 オピニオン面

◆パトラン

 2019年の刑法犯の認知件数は戦後最少を記録した。この年が特別だったわけでなく、02年をピークにずっと右肩下がりを続けている。

 その要因として、市民による防犯ボランティアの存在が挙げられる。その数は認知件数の減少とともに増え続け、16年には約272万人となった。これは全国の警察官の10倍近い人数だ。

 NPO法人改革プロジェクトでは、市民主体で地域を見守る目を作り続けてきた。だが今、人口減少や高齢化などで担い手が減っている。市民による防犯活動は成熟から衰退期へと突入しているようだ。日本の犯罪数は減っているが、ゼロではない。市民の防犯活動がこのまま衰退するのを、指をくわえて見ているだけではいけない。時代に合わせカスタマイズする必要があると模索して、たどりついたのがパトランだった。

 パトランはランニングしながらパトロールする取り組みだ。よく勘違いされるのだが、ランニングついでのパトロールではない。課題を捉え、パトロールの手段としてランニングを活用している。13年に福岡で始まり、現在は全国38都道府県で2千人程のメンバーが昼夜問わず活動している。

 小学生から80代まで年齢の幅は広いが、主軸となるのは30~40代だ。参加動機はさまざまだが、地域のためにという熱い思いを持って参加するメンバーは意外にも少ない。

 どちらかというと、地域活動とは疎遠だった人だ。「パトランに取り組むことで仲間が増えた。帰って寝るだけだった地域に自分の居場所ができた」と言う人も多い。ランニングなどのスポーツは、地域活動に参加するハードルを限りなく低くしてくれる。

 パトランのような地域ボランティア活動において重要なのは個々人の自主性にある。

 自主性を育むには、余白が必要だ。パトランでは、交通ルールやモラルを守るなど最低限の規則しか設けず、メンバーが自由に考え行動できる余白を残している。自ら考え行動するため、活動への意欲は高い。時には問題に直面したりと楽なことばかりではないが、やり遂げることでの達成感やそこに至るまでの過程がやりがいを生む。

 地域の課題を知り、未来を考え行動し、同じ思いの仲間を作っていく。その過程にこそパトランの本質的な価値があるのだと思う。

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 立花 祐平(たちばな・ゆうへい)NPO法人改革プロジェクト代表 1985年生まれ、福岡県宗像市出身。改革プロジェクトは防犯・環境・防災の分野で取り組みを進める。福岡県安全・安心まちづくりアドバイザーも務める。

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