バイデン氏、反転攻勢へ一矢も楽観できず 米大統領選党候補争い

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 「メディアや評論家は『この候補は死んだ』と宣言したが、しっかり生きている」。米民主党のバイデン前副大統領は2月29日夜、大統領選党候補指名争いのサウスカロライナ州予備選で圧勝し、会心の笑顔を見せた。長く本命視されながら序盤戦で苦戦が続いただけに「流れが変わる」と支持者の期待は高まる。だが序盤の連勝で勢いに乗るサンダース上院議員も着実に支持を広げる。天王山となる3月3日のスーパーチューズデーを目前に、楽観はできない。

 バイデン氏は候補者討論会で地名を言い間違えたり言動に覇気を欠いたりして、初戦から失速した。「戦いは始まったばかりだ」と平静を装ったものの、さらに低迷が続けば選挙戦からの撤退が現実味を帯びる状況に追い込まれた。

 陣営はオバマ前大統領の最側近として黒人の支持が期待できるサウスカロライナを「防火壁」と位置づけ、懸命にてこ入れを図った。バイデン氏本人も直前の討論会で「優しいおじいさん」といった温和なイメージをなげうち、大胆な改革を訴えるサンダース氏を激しく攻撃するなど敵対心をあらわにした。民主党下院の重鎮で地元選出議員の支持も取り付けた。結果、5割に迫る得票を獲得した。

 バイデン氏の勝利演説を会場で聴いた男性(69)はトランプ大統領がバイデン氏を「寝ぼけたジョー」とやゆしていることを踏まえ「やっと目覚めてくれた」と喜んだ。他の支持者も「サンダース氏優勢の情勢は今日で終わりだ」と勢いづく。

 しかし、もともと非白人層への浸透が課題だったサンダース氏は人種や世代を超えた支持拡大を見据えて運動を展開。スマートフォンのメッセージ機能を駆使するなど手法も組織的で多彩だ。サウスカロライナで劣勢との見方が強まると、早々に活動の重点をスーパーチューズデーの対象州に移すなど巧みな戦略性がうかがえる。

 対するバイデン氏。選挙集会の盛り上がりはサンダース氏支持の若者らが見せる熱狂ぶりには程遠い。選挙資金の獲得額もサンダース氏に劣る。サウスカロライナに資金や人員を集中した分、スーパーチューズデーの対策が後手に回っているとの見方もある。

 3月からは同じ中道・穏健路線で大富豪の前ニューヨーク市長ブルームバーグ氏が参戦。票を分け合う恐れがあり不安要素だ。

 隣の南部ジョージア州からバイデン氏支援のためサウスカロライナに駆け付けたボランティアの黒人男性(45)は「今日の勝利は本当にうれしいが、ジョージアの予備選(3月下旬)の情勢は読めない。もっと頑張らないと」と気を引き締めた。 (コロンビア田中伸幸)

PR

政治 アクセスランキング

PR

注目のテーマ