子ども食堂、本来の姿は「多世代交流の場」 高齢者の孤立解消にも

西日本新聞 くらし面 河野 賢治

湯浅誠・東京大特任教授が基調講演
 「子ども食堂」が増えている。民間団体の調査では全国で3718カ所(2019年)に上り、前年の1・6倍に。貧困家庭の子どもが通う場と捉えられがちだが、訪れる年齢層は幅広く、高齢者の孤立解消にもつながるようだ。北九州市で2月22日に開かれた「九州沖縄のこども食堂がつながる研修会in北九州」では、九州各県で食堂を運営する団体が集い、食を通した支援の場を増やす意義を考えた。

 同市の「子ども食堂ネットワーク北九州」が主催。開設を支え、全国の動向も調べているNPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」理事長の湯浅誠・東京大特任教授が基調講演した。

 湯浅氏はまず、子ども食堂の印象を変えることを訴えた。困窮、ひとり親、何らかの課題を抱えた家庭。こうした世帯の子どもだけが来るとのマイナス的な見方をする人がいるため、始めたくても「地域の評判が悪くなる」と難色を示されることがあるという。

 これに対し、本来の姿は「子どもを中心とした多世代交流の場」と強調した。子どもの貧困対策と、幅広い世代の交流拠点という2本柱が基本。家でも学校でもない第3の居場所で、親でも教師でもない人と関係を築ける空間と位置づける。子どもや1人暮らしで孤立する高齢者などにとって、数は多い方がいいと訴えた。

 子ども食堂は12年、東京で開設されたのが始まりとされる。徐々に増え、湯浅氏らが16~18年度に全国を回って趣旨を伝えたこともあり、19年は前年から約1430カ所増えた。

 湯浅氏は著書「反貧困」でも、この種の空間の大切さを記している。生活困窮者を支援する中、当事者の相互交流のため居場所を設け、これを「質より量」と説いた。誰にとっても居心地のいい場は少なく、「数」が必要になるという。

 子ども食堂でも、同じ考えだ。全国約2万の小学校の校区に1カ所ずつ置く目標を掲げ、「子どもが高齢者や中高校生、障害者、外国籍の人と過ごせば、相手との間合いをつかめる大人になる。貧困や虐待に苦しむ子も、そうでない子も、高齢者も、通いやすい場所にあるといい」。

 では、どうすれば増やせるのか。「地域に人材がいないと言うが、この1年間の増え方で担い手はいることを証明できた」。始めたい人の思い、行動を後押しする環境づくりを重要視する。

 例えば、校区ごとの子ども食堂の位置を地図上で示す試み。「空白地域」が分かり、地元で開設の機運が高まりやすいという。

 不動産業者に働き掛けるアイデアも。「物件情報に病院やスーパーと同じように、『子ども食堂に近い』と書けないか」。共働き世帯が自宅を決める際、判断材料の一つにしてもらう。

 「子ども食堂があると地域の評判が悪くなるのではなく、逆なんだと。価値を上げ、選ばれる地域になる。個人や企業、団体、学校が誰でも開く、そこを目指したい」。食堂は未来の地域や人づくりのため。目標達成は、その意識を共有できるかが鍵かもしれない。 (編集委員・河野賢治)

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